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飲食業界におけるA型看板とは?

飲食の分野におけるA型看板(えーがたかんばん、A-frame sign、Chevalet publicitaire)は、店舗の入り口付近や歩道に設置され、主にメニューやサービス内容、キャンペーン情報などを掲示するために使用される、折りたたみ式の自立型看板のことを指します。その形状がアルファベットの「A」の字に似ていることから、日本では「A型看板」と呼ばれるようになりました。

この看板は、視認性が高く、設置・撤去が簡単であることから、飲食店の現場では欠かせない販促ツールとして幅広く利用されています。たとえば、ランチタイムのおすすめメニュー、期間限定キャンペーン、営業時間の告知などを即座に伝える手段として活用されるほか、歩行者の目を引く役割も担っています。

英語表記では「A-frame sign(エーフレーム・サイン)」、または「sandwich board(サンドイッチ・ボード)」という表現が一般的です。前者は看板の構造に着目した表現であり、後者は板2枚が向かい合う構造から、サンドイッチのように情報が“挟まれて”いる様子を表した言い回しとなります。

フランス語では「chevalet publicitaire(シュヴァレ・ピュブリシテール)」と呼ばれています。「chevalet」はもともと画家がキャンバスを立てるための「イーゼル」を意味し、そこから派生して広告用のスタンド型看板を表す言葉としても使われるようになりました。特にパリの街角では、ビストロやカフェが手書きのメニューをこのタイプの看板に掲げている光景がよく見られます。

日本の飲食業界においても、チョークボード形式のA型看板は特に人気があり、手書きによる温かみのある表現が可能であるため、顧客との心理的な距離を縮める効果が期待されます。また、店舗ごとに異なるデザインを施すことで、店の個性やブランドイメージを表現する手段としても注目されています。

このように、A型看板は、シンプルながらも高い訴求力を持ち、飲食店における情報発信とブランディングの両面で重要な役割を果たしているのです。



A型看板の歴史と由来

A型看板のルーツは、18世紀のヨーロッパにあるとされています。当時、街中のパン屋や酒場、青果店などが自店舗の存在を知らせるために、簡易的な板看板を設置していました。これがやがて、持ち運びしやすく、自立可能な形へと発展し、現在のA型に似た構造が誕生しました。

19世紀になると、アメリカでも同様の形式が広がり、「sandwich board(サンドイッチボード)」という呼称とともに、通行人の注意を引くツールとして普及していきます。A字型に開いて両面に情報を表示できる点は非常に実用的であり、現在のストリート広告の原型とも言える存在です。

日本においても、昭和中期以降の商店街や飲食店でこの形式が採用され始め、バブル期には大型飲食店が目立つデザインで個性を競い合いました。現代では、DIYで作成されたり、既製品をカスタマイズしたりすることで、看板そのものが店舗の顔として機能するようになっています。

また、A型という呼称は工業製品の分類に由来する日本独特の表現であり、形状が視覚的にアルファベットの「A」に似ていることから命名されました。これは実際の形状理解に即したネーミングであり、一般にも親しまれています。



A型看板の特徴と役割

視認性の高さは、A型看板の最大の特徴のひとつです。両面に情報を掲示できるため、往来する人々のどちらの方向からでも視認が可能であり、特に交差点や歩道沿いなど視線が分散しやすい場所で効果を発揮します。

また、A型看板は折りたたみ式構造が基本となっており、雨天時や閉店時などに素早く撤去できる点もメリットです。これにより、設置・撤去の手間が軽減され、営業時間に合わせた柔軟な運用が可能になります。

さらに、黒板タイプのA型看板は手書きメニューやイラストなど、日替わり情報の更新にも適しており、まるで“その日限りの演出”のような演出も可能です。このような即興性の高さが、顧客とのコミュニケーションを深める要素にもなっています。

デザイン面では、店舗のコンセプトやブランドカラーに合わせてカスタマイズ性が高いのも特徴です。例えば、イタリアンレストランではアンティーク風の木製看板、カフェではパステルカラーで装飾されたボードなど、業種・業態に応じて多様なデザインが見られます。

さらに、現代ではQRコードを貼り付けてスマホでメニューが読めるようにしたり、LEDライトを装着して夜間でも目立つようにしたりと、テクノロジーとの融合も進んでいます。



飲食業界におけるA型看板の活用例

飲食業界では、A型看板は単なる情報提供ツールにとどまらず、集客装置としての機能を果たしています。たとえば、以下のような活用法が一般的です。

  • ・ランチタイム限定メニューの掲示
  • ・「本日おすすめ料理」の紹介
  • ・新商品や季節限定ドリンクのPR
  • ・イベント告知(ハロウィンやバレンタインなど)
  • ・SNS連携キャンペーンの告知(ハッシュタグ提示など)

これらの情報は、歩行中の通行人が一瞬で理解できるよう視覚的インパクトが求められます。そのため、色使いやフォント、イラストの使用など、工夫を凝らしたデザインが不可欠です。

また、A型看板は比較的安価で導入できるため、開業したばかりの小規模店舗でも導入しやすく、初期投資の回収も早いとされています。さらに、手書きで運用できるため、業者に依頼せずとも店員が日々更新できる点もポイントです。

一方、大手チェーンではブランド統一の観点から、本部がデザインした印刷済みポスターをはめ込む方式も採用されています。これにより、各店舗の訴求内容に一貫性を持たせつつ、個別のA型看板でローカルな情報も伝えるハイブリッドな活用が進んでいます。



まとめ

A型看板は、飲食業界において集客・情報発信・ブランディングの要を担う極めて重要な販促ツールです。

その高い視認性と手軽さから、小規模な飲食店から大手チェーン店まで広く活用されており、店頭における「第一印象」を形作る存在とも言えます。

今後は、さらにデジタルとの融合が進み、A型看板が単なるアナログ媒体ではなく、リアルとデジタルをつなぐ情報プラットフォームとして発展していくことが期待されます。

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