ビジプリ > 飲食業界用語辞典 > 【QSC(品質・サービス・清潔さ)】

飲食業界におけるQSC(品質・サービス・清潔さ)とは?

飲食の分野におけるQSC(品質・サービス・清潔さ)(きゅーえすしー、Quality, Service, Cleanliness、Qualite, Service, Proprete)は、飲食業における店舗運営の基本的な評価基準を示すフレームワークです。顧客満足度の向上と店舗の信頼構築を目的とし、「料理の質」「接客の質」「店内の清潔さ」という3つの要素から成り立ちます。

QSCは特にファストフード業界で広く導入されており、その起源はアメリカの大手チェーン店にさかのぼります。日本でもマクドナルドをはじめとする多くのチェーンがこの概念を取り入れ、店舗評価やスタッフ教育の基準として活用してきました。

Q(Quality)は、料理の見た目、味、温度、鮮度といった商品そのものの品質を指します。S(Service)は、スタッフの接客態度、スピード、礼儀、ホスピタリティなどの顧客対応力に関わります。そしてC(Cleanliness)は、店内外の衛生状態や清掃状況、設備の整頓など物理的な清潔さを意味します。

QSCのバランスが取れている店舗は、顧客からの評価が高く、リピーターやクチコミによる新規集客につながりやすい傾向があります。逆に、いずれか一つでも欠けると、顧客体験が損なわれ、集客力や売上に悪影響を与えるリスクが高まります。

このように、QSC(品質・サービス・清潔さ)は、店舗運営の基礎体力を測る重要な指標であり、飲食業において長期的な成功を目指すためには欠かすことのできない経営概念です。



QSCの起源と歴史的背景

QSCという概念が広く知られるようになったのは、1950?60年代にアメリカでファストフード産業が急成長を遂げた時期にさかのぼります。特に、マクドナルドの創業者レイ・クロック氏が「いつ、どこで、誰が来ても、同じ品質・同じサービス・同じ清潔さを提供すること」を信条として打ち出したのが始まりです。

当時のマクドナルドは、フランチャイズ展開を成功させるために、全国どの店舗でも同じ顧客体験を提供する必要がありました。そのため、個別評価が可能で、かつ全体の店舗運営指標として機能するフレームワークとしてQSCが導入されました。

その後、この考え方は全世界のマクドナルドだけでなく、KFC、モスバーガー、すき家など日本国内の多くの飲食チェーンにも波及。特に1990年代以降、サービス業におけるCS(顧客満足)向上が注目される中で、QSCの重要性はさらに高まりました。

現在では、QSCは単なる品質管理の枠を超え、経営戦略やブランディングにも関わる指標として、全業態の飲食店に広く浸透しています。



QSCそれぞれの要素と飲食業界での具体例

QSCは、以下の3つの要素から構成され、それぞれに具体的な評価基準と改善手法が存在します。

Q=Quality(品質)
品質とは、料理の味・温度・盛り付け・提供スピード・分量の正確さなどを指します。たとえば、ハンバーガーのパンがふわふわで焼き加減が一定か、スープが適温で提供されているかなど、顧客が“期待通り”または“期待以上”と感じる要素が重視されます。

S=Service(サービス)
サービスとは、従業員のあいさつ、笑顔、対応スピード、メニューの知識、問題解決力などを含みます。たとえば、混雑時に「お待たせいたしました」と一声添えられるか、目線を合わせて接客できているかといった、小さな配慮も重要な評価基準となります。

C=Cleanliness(清潔さ)
清潔さは、店内の床やテーブルの汚れ、トイレの衛生状態、厨房内の整理整頓、ユニフォームの清潔さまで含まれます。お客様が安心して食事できる環境を整備することが重要であり、定期的な清掃と見た目のチェックが欠かせません。

QSCの点検は、ミステリーショッパーによる評価や、店長による巡回チェック従業員によるセルフチェックなどで行われることが多く、日常的に改善を図ることで全体的なサービスレベルを向上させていきます。



QSCの重要性と現代的な活用方法

QSCの最大の利点は、顧客満足度の維持・向上だけでなく、業務の標準化スタッフ教育の指標としても有効に機能する点です。

特に現代の飲食業界では、人手不足やアルバイトスタッフの入れ替わりが激しくなっており、属人的な対応ではなく、一定の水準を誰でも実現できる仕組みが求められています。その中でQSCの3要素は「何を重視し、どう行動すべきか」の判断軸として活用されているのです。

また、近年ではデジタル技術との融合も進み、モバイルチェックリストデジタルQSCアセスメントを導入する企業も増加。データ化された評価結果をもとに、フィードバックの即時共有や、エリアマネージャーによるリモート指導も可能になっています。

さらに、SNSやレビューサイトの普及により、顧客の「声」がリアルタイムで拡散される時代において、QSCの精度を高めることはブランド価値の保護にも直結しています。

一方で、QSCの概念はあくまでも「顧客視点」に基づいて運用されるべきものであり、現場スタッフの疲弊やルール偏重にならないよう、柔軟な運用と人間味のある接客を両立することが求められます。



まとめ

QSC(品質・サービス・清潔さ)は、飲食業界において顧客満足を実現し、店舗の成長を支える基本的かつ普遍的な評価軸です。

料理のクオリティ、スタッフの接客力、そして店の衛生環境という三位一体の要素は、どれか一つが欠けても店舗運営の信頼性が揺らいでしまいます。

現代では、QSCをデジタルで可視化・改善する仕組みも整い、持続的な品質向上が可能になってきました。これからも、飲食店が地域や顧客に愛される存在であり続けるためには、QSCの徹底と進化が欠かせないと言えるでしょう。

▶飲食業界用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの関連サービス