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飲食業界におけるイングリーディエントとは?

飲食の分野におけるイングリーディエント(いんぐりーでぃえんと、Ingredient、Ingredient)は、料理や食品を構成する「材料」や「成分」を指す英語由来の用語です。日本の飲食業界においては、特にメニュー開発や食品表示、フードテックの文脈で使用されることが多く、従来の「食材」「原材料」という言葉とは異なるニュアンスを持っています。

この用語は「原料としての機能性」や「科学的・栄養的視点」が強調される場面で使用され、飲食店のレシピ開発、栄養価表示、機能性食品のプロモーションなどで重要なキーワードとなっています。

英語表記は「Ingredient(イングリーディエント)」、フランス語では「Ingredient(アングレディアン)」と綴られ、ヨーロッパやアメリカの食品業界では、食品表示法の基本概念の一つとして明確に定義されています。

つまり、イングリーディエントとは、単なる“素材”にとどまらず、料理や食品における味・香り・食感・栄養・安全性などの構成要素として不可欠な存在であるといえます。



イングリーディエントという言葉の由来と進化

イングリーディエントという語は、ラテン語の「ingredi(入る)」を語源とし、「中に入れるもの=成分・原料」といった意味を持ちます。

この言葉が食品や料理に使われるようになったのは18世紀以降で、近代のレシピ本や薬品処方の記述において、「成分表」や「調合内容」として使われ始めました。

21世紀に入ってからは、食に対する消費者の関心が「安全性・成分表示・機能性」にシフトしたことにより、「イングリーディエント」という言葉がより専門的に、かつ消費者目線でも用いられるようになりました。

日本でも「食品表示法」や「健康食品表示ガイドライン」の中で、特に栄養補助食品や業務用加工食品の文脈において使用されています。最近ではレストランやカフェのメニューにも「Ingredient」表記が登場し、アレルギー表示やカロリー表示と連動して、顧客への訴求力を高めています。



飲食業界におけるイングリーディエントの活用場面

飲食店において「イングリーディエント」という表現が使われるのは、以下のようなケースです。

① メニューの高付加価値化

料理の説明に、原材料や産地を明示する際に「イングリーディエント一覧」を掲載するケースが増えています。例として、「トリュフの香る自家製ラビオリ(Ingredients:黒トリュフ、パルミジャーノレッジャーノ、小麦粉、卵)」のように、見せる料理の演出として用いられます。

② アレルゲン・栄養価・ヴィーガン表示

食材の詳細な構成を明示することで、食物アレルギー対応やライフスタイルに配慮したメニュー設計が可能になります。特に海外観光客向けには、英語表記のイングリーディエント情報が不可欠です。

③ セントラルキッチンや食品製造ラインでの原料管理

食品のトレーサビリティ(追跡可能性)を確保するために、仕入れ段階からイングリーディエントコードを付与し、ロット管理を行う企業も増えています。

④ SDGs・サステナビリティ文脈

「植物由来のイングリーディエント」や「アップサイクル食材」など、環境負荷を意識した食材選定も、現代飲食業の差別化要素となっています。



フードテック時代におけるイングリーディエントの未来

現在、食品業界ではAI・IoT・バイオテクノロジーの進化により、「イングリーディエント」はさらに高度で多様な概念へと広がっています。

例として以下のようなトレンドが挙げられます。

  • 代替肉のイングリーディエント開発:植物性タンパク質や発酵由来の旨味成分
  • 機能性素材の導入:食物繊維、乳酸菌、MCTオイルなどを配合した健康メニュー
  • 3Dフードプリンティングの素材:ゲル状や粉末状のイングリーディエントを構造化

これらはもはや「食材」というより「食品素材(Functional Ingredient)」の領域であり、科学・健康・環境の3要素を同時に満たす次世代飲食の基盤となりつつあります。

また、クラウドキッチンやゴーストレストランにおいても、レシピの標準化・品質再現性の確保のために、イングリーディエントの構造的管理が不可欠となっています。



まとめ

イングリーディエントは、単なる「食材」ではなく、飲食の現場における品質、健康、安全、ストーリー性を担保する「情報価値の高い構成要素」です。

その活用は、食の透明性向上だけでなく、持続可能なビジネス構築やグローバル対応力の強化にもつながります。飲食業界において「イングリーディエント」という視点を導入することは、まさに時代を先取りする食の在り方を示しているのです。

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