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飲食業界における自然派ワイン取扱いとは?

飲食の分野における自然派ワイン取扱い(しぜんはワインとりあつかい、Natural Wine Handling、Gestion du Vin Naturel)とは、農薬や化学肥料を極力用いず、自然酵母だけで発酵させたワインを、仕入れ・保管・提供まで一貫して自然のままの風味を尊重しながら扱うことを指します。生産者が畑でのブドウ栽培から醸造まで手間を惜しまず行う「ナチュラルワイン」の魅力を、飲食店がメニューやサービスに反映させることで、消費者に安心・安全で個性豊かなワイン体験を提供します。

英語表記のNatural Wine Handlingは、欧米を中心に自然派ワインを求める消費者層において一般化した概念で、産地や生産者のストーリーを重視した販売手法を含みます。仏語ではGestion du Vin Naturelと呼ばれ、フランス各地のビストロやワインバーで、テロワール(風土)を活かすワインをシンプルに提供するスタイルとして浸透しています。いずれも、飲食店側が仕入れ先との信頼関係を築き、適切な温度管理やデキャンタージュなどの技術を駆使することで、ワイン本来の風味を最大限に引き出します。

自然派ワイン取扱いの主なポイントは三つあります。第一に、生産者とのパートナーシップです。信頼できる造り手から直接仕入れ、栽培・醸造の工程を理解することで、品質を保証します。第二に、メニューとのマリアージュ提案です。自然派ワインは個性的な香味を持つため、料理との相性を考慮したペアリングが重要です。第三に、顧客教育と訴求です。スタッフがワインの背景や特徴を丁寧に説明し、消費者に自然派ワインの魅力を伝えます。



自然派ワインの歴史と定義

“自然派ワイン”の起源は1960年代フランスの一部醸造家による実験的な取り組みに遡ります。当初は「アンジュヴィーノ運動」と呼ばれ、農薬・化学肥料を用いず、野生酵母で醸造する手法を追求しました。その後、ヨーロッパ各地に広がり、2000年代以降は日本を含む世界中の飲食業界で“自然派ワイン”として認知されるようになりました。

自然派ワインの定義に厳格な国際基準はありませんが、共通するポイントは以下の通りです。①ブドウ栽培における農薬・化学肥料不使用②醸造における添加物不使用または最小限③野生酵母による自然発酵④清澄剤や濾過などの処理を極力控えること。飲食店はこれらの条件を生産者との対話で確認し、仕入れに反映させます。



店舗での取扱い実践と工夫

自然派ワインを提供するにあたり、飲食店では次のような工夫が行われます。まず、適切な保管温度はセラーやワインクーラーで12~16℃を維持し、温度変化を抑制します。次に、グラス選びにもこだわり、香りを引き出すチューリップ型などを採用。提供前にはデキャンタージュやエアレーションで味わいをより親しみやすくすることもあります。

さらに、スタッフ教育が欠かせません。自然派ワインの生産背景や風味特性、ペアリングのポイントを研修し、お客様にストーリーと共に提案できる体制を整えます。これにより、ワインリスト上の銘柄が単なる商品ではなく、魅力的な体験として伝わります。



市場動向と今後の可能性

近年、健康志向やサステナビリティ意識の高まりから、自然派ワインの需要は世界的に増加しています。日本国内でもナチュラルワイン専門店やビオ系居酒屋が登場し、専門フェアやセミナーも定期開催されています。消費者は個性豊かな味わいと、環境負荷の少ない生産背景を評価し、リピーターが増加中です。

今後は、輸送時のカーボンフットプリント低減や、リサイクル可能な包装材の採用など、飲食店としてもサステナブルな取り組みが求められます。また、デジタルプラットフォームを活用したオンライン試飲会や生産者とのライブ対談など、新たな顧客接点の創出も期待されます。



まとめ

飲食業界における自然派ワイン取扱いとは、生産者と連携し、農薬・化学肥料不使用のブドウから酵母のみで醸造されたワインを、安全かつ魅力的に提供する取り組みです。歴史的背景を踏まえつつ、適切な保管・提供方法、スタッフ教育、ペアリング提案を通じて、顧客に豊かなワイン体験を提供します。今後はサステナビリティのさらなる追求とデジタル技術の活用が、自然派ワイン取扱いの新たな発展を支えるでしょう。

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