【お節とは？】ビジプリ飲食・飲食用語辞典

お節の歴史と由来

お節料理の起源は、平安時代にさかのぼります。その時代、人々は自然界の神々に感謝を捧げ、無病息災や豊作を祈るために供え物をしました。特に、新年を迎えるにあたり、神聖な儀式の一部として、食物を神に捧げ、その後に家族で食べるという風習がありました。これが後に「お節」という形で現代に伝わっています。

「お節」の「節」という字は、もともと「節供（せっく）」や「節会（せちえ）」という言葉から派生しており、特に節目の時期に行われる祭りや祝い事を意味していました。これが転じて、新年の節目を祝う料理として「お節料理」が定着しました。最初はシンプルな料理から始まりましたが、時を経てさまざまな食材や調理法が取り入れられるようになり、現在のように豪華で多様な料理の詰め合わせとなっています。

江戸時代に入ると、武士階級を中心に、お節料理の習慣が広がり、次第に庶民の家庭にも広まりました。特に江戸時代中期から後期にかけては、現在のお節料理に近い形となり、数段階に分けて詰められた重箱（じゅうばこ）が登場します。また、保存食としての性質を持ちつつも、豊かな味わいや縁起をかついだ食材を盛り込むようになりました。

お節の代表的な料理とその意味

お節料理には、それぞれに深い意味が込められた食材や料理が使われています。これらの料理は、新年の繁栄や健康、家族の団欒を願う思いが込められており、食べることでその願いがかなうと信じられています。

黒豆（くろまめ）は、健康で元気な一年を送ることを願って食べられます。「まめ」は「元気」という意味も持ち、また「まめに働く」などの言葉にも象徴される通り、仕事や家事が活発に行えるようにとの願いが込められています。

数の子（かずのこ）は、子孫繁栄を願うための食材です。魚の卵を指し、多くの子供を育てるという意味を込めて食べます。

伊達巻（だてまき）は、縁起が良いとされる卵の料理で、巻物に似た形状をしていることから、知識や学問、商売繁盛を願う意味が込められています。甘い味付けが特徴的で、家庭や店舗で作られます。

紅白かまぼこ（こうはくかまぼこ）は、紅白の色合いが新年を祝う意味を持ち、特に祝い事に欠かせないアイテムです。赤は「厄除け」、白は「清浄」を象徴しています。

昆布巻き（こんぶまき）は、祝い事が「喜ぶ」や「繁盛する」を意味し、商売繁盛や繁栄を願うために食べられます。

これらの料理は、重箱に美しく詰められ、見た目の華やかさとともに、食べる人々に豊かな新年を予感させるような役割を果たします。

お節の現代における使われ方と変化

お節料理は、過去には家庭で手作りすることが主流でしたが、現代では外食業界や通販を通じて購入するケースが増えました。特に忙しい現代人にとっては、調理にかける時間を省けるため、既製品のお節料理の需要が高まっています。デパートや専門店では、豪華で精緻に作られたお節が販売され、多くの家庭で購入して新年を迎える風習が定着しています。

また、近年では、伝統的なお節料理に現代的なアレンジを加えたものも登場しています。たとえば、ヘルシー志向の人々に向けた低糖質や低塩分の料理、または地元の特産品を取り入れた創作お節などがあります。これらは、伝統を尊重しつつ、現代のライフスタイルに合った形で進化を遂げています。

さらに、海外でも日本の「お節」が注目され、国際的な需要が高まっています。特に日本料理が人気のある国々では、外国人向けにアレンジされたお節が提供されることも増えており、日本文化を理解する一環として食べられることもあります。

まとめ

お節料理は、日本の伝統的な正月料理として、長い歴史と深い意味を持っています。新年を祝うための大切な料理として、その食材には健康や繁栄、家族の幸せを願う気持ちが込められています。現代では、家庭で手作りすることは少なくなったものの、外食産業や通販を通じて、便利に楽しめるようになっています。お節料理は、その時代の文化を反映した料理であり、今後も日本の食文化を象徴する存在として受け継がれていくことでしょう。