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広告業界におけるクロスデバイスマッチングとは?

広告業界におけるクロスデバイスマッチング(くろすでばいすまっちんぐ、Cross-Device Matching / Appariement Multi-Appareils)とは、ユーザーが複数のデバイス(スマートフォン、タブレット、パソコンなど)を利用している場合でも、それらのデバイスを一人のユーザーとして認識し、広告のターゲティングやパフォーマンス分析を行う技術を指します。この技術は、広告主がより正確なターゲティングを実現し、効果的なマーケティング施策を展開するために不可欠です。


クロスデバイスマッチングの歴史と背景

クロスデバイスマッチングの概念は、スマートフォンの普及が進んだ2010年代初頭に注目され始めました。それ以前は、デスクトップ広告が主流であり、1台のパソコンを基点とした広告ターゲティングが行われていました。しかし、スマートフォンやタブレットの普及により、ユーザーは複数のデバイスを日常的に利用するようになりました。この変化により、従来のデバイスごとに分断されたデータでは、ユーザー行動を正確に把握することが難しくなりました。

この課題に対応するため、クッキーやログイン情報を活用して、異なるデバイス上のユーザーを結びつける技術が開発されました。また、広告プラットフォームは、識別子(ID)を基にユーザーを特定し、広告効果を測定する仕組みを導入しました。現在では、AIや機械学習を用いて、匿名データを基にしたクロスデバイスマッチングが一般化しています。

クロスデバイスマッチングの仕組みと特徴

クロスデバイスマッチングは、以下のようなプロセスで実現されます:

  • データ収集:デバイスごとのログイン情報、クッキー、IPアドレス、ブラウザ設定などを収集。
  • データ統合:収集した情報を基に、複数のデバイスを一人のユーザーとして結びつける。
  • 識別子の生成:ユニークなIDを作成し、ユーザーのデバイス横断的な行動を追跡。
  • 広告配信と効果測定:ターゲットユーザーに適した広告を配信し、各デバイスでの反応を分析。

この仕組みの特徴は、ユーザーの行動を全デバイスで統合的に把握できる点です。これにより、広告主はコンバージョンパス(購入や登録に至るプロセス)を詳細に分析し、最適なタイミングと場所で広告を配信することが可能になります。

クロスデバイスマッチングの現在の使われ方

クロスデバイスマッチングは、以下のような場面で活用されています:

  • リターゲティング広告:スマートフォンで閲覧した商品をデスクトップ広告で再提示し、購入を促進。
  • マルチチャネルキャンペーン:デバイス間で一貫した広告メッセージを配信し、ブランド認知度を向上。
  • パフォーマンス分析:デバイスごとの広告効果を測定し、最適な広告予算を配分。
  • 顧客エンゲージメントの強化:一貫したユーザー体験を提供し、長期的な関係を構築。

たとえば、大手オンラインショップでは、スマートフォンで商品を閲覧したユーザーに、後日パソコンでの特別割引広告を表示するリターゲティング施策を実施。このクロスデバイス戦略により、購入率を20%以上向上させた成功事例があります。また、金融業界では、異なるデバイス間で一貫したローン広告を配信し、顧客との接点を増加させる取り組みが行われています。

クロスデバイスマッチングのメリットと課題

クロスデバイスマッチングの主なメリットは以下の通りです:

  • 正確なユーザーターゲティング:デバイスごとではなく、ユーザー全体を基にした精密なターゲティングが可能。
  • 広告効果の向上:最適なタイミングとデバイスで広告を配信することで、CTRやコンバージョン率が向上。
  • 一貫性のあるユーザー体験:異なるデバイス間でシームレスな広告体験を提供。

一方で、以下の課題も存在します:

  • プライバシー問題:データ収集と利用に関する規制(GDPRやCCPAなど)への対応が必須。
  • 技術的な複雑さ:データ統合や匿名化のプロセスに高度な技術が必要。
  • クッキーレス環境への対応:サードパーティクッキーの廃止に伴い、新しい識別技術が求められる。

クロスデバイスマッチングの未来

クロスデバイスマッチングの未来は、AIや機械学習のさらなる進化によって、より高精度で効果的なターゲティングが可能になると期待されています。特に、クッキーレス環境への対応として、データの匿名化を保ちながらユーザー行動を追跡する技術が進化すると予想されます。

また、スマート家電やウェアラブルデバイスが普及することで、これらを含めた「クロスエコシステムマッチング」が新たな課題として浮上するでしょう。このように、クロスデバイスマッチングは、広告業界におけるマーケティング戦略の中核を担う重要な技術として進化を続けていくと考えられます。


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