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広告業界におけるラストクリック効果とは?

広告業界におけるラストクリック効果(らすとくりっくこうか、Last-Click Attribution / Attribution au Dernier Clic)とは、ユーザーがコンバージョン(購入や問い合わせなど)に至る過程で行った最後のクリックにすべての貢献度を割り当てる分析手法を指します。この方法では、ユーザーの購買行動を促した他の広告や接点は評価されませんが、シンプルで分かりやすいため、特に初期のデジタル広告効果測定において広く使用されてきました。


ラストクリック効果の歴史と背景

ラストクリック効果が注目されるようになったのは、デジタル広告が普及し始めた1990年代後半から2000年代初頭です。当時、ウェブ解析ツールはまだ発展途上にあり、ユーザーの複数の接点を追跡する手法が限られていました。このため、ユーザーが最後にクリックした広告やリンクを重視し、その広告がコンバージョンに最も大きく寄与したと仮定するシンプルなアプローチが採用されました。

この手法は、初期の検索エンジン広告やディスプレイ広告キャンペーンにおいて非常に実用的でした。広告主はラストクリックに基づいて広告費用対効果(ROAS)を評価し、次回のキャンペーン戦略を策定していました。

ラストクリック効果の計算方法と特徴

ラストクリック効果では、以下のステップでデータを分析します:

  • ユーザーの最終クリックを特定:コンバージョンに至る前に行われた最後のクリックを記録。
  • コンバージョンを割り当て:そのクリックを起点とした広告やキャンペーンにすべての貢献度を割り当てる。

特徴として、ラストクリック効果は以下の利点と制約を持ちます:

  • シンプルで直感的:分析が容易で、データを迅速に解釈可能。
  • 特定の接点を重視:最終的な意思決定に関与した広告の効果を正確に把握できる。
  • 他の接点を無視:ユーザーがコンバージョンに至るまでの経緯や、初期接触の広告の影響を評価しない。

現在の広告業界におけるラストクリック効果の使われ方

現代の広告業界では、ラストクリック効果は次のような状況で使用されています:

  • 検索広告のパフォーマンス評価:ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードをクリックした場合の効果を測定。
  • 単純なアトリビューション分析:複雑なマルチタッチアトリビューションモデルを導入できない場合の代替手段として活用。
  • 短期的なキャンペーン分析:一時的なプロモーションや特定の広告フォーマットの効果測定。

例えば、あるECサイトがセール期間中に実施した検索広告キャンペーンで、ラストクリック効果を分析。広告経由で得られたコンバージョン数を把握し、検索広告のROIを評価する際に使用されました。

ラストクリック効果のメリットと課題

ラストクリック効果の主なメリットは以下の通りです:

  • 導入コストが低い:特別なツールや複雑な計算を必要とせず、迅速にデータを収集・分析可能。
  • 最終的な意思決定を評価可能:コンバージョン直前の広告やタッチポイントを特定。
  • データ解釈が容易:広告主が結果を理解しやすく、次の戦略策定に活用しやすい。

一方で、以下の課題も存在します:

  • 他のタッチポイントの無視:初期接触や中間接点の広告が持つ影響力を過小評価する可能性。
  • 消費者行動の複雑さに非対応:複数チャネルをまたぐ購買プロセスやオムニチャネル戦略に適合しない。
  • データの偏り:特定の広告形式(例:リターゲティング)が過剰に評価されるリスク。

ラストクリック効果の未来

ラストクリック効果は、シンプルさゆえに依然として利用される場面がありますが、広告業界の進化とともにマルチタッチアトリビューションモデルが主流になると予想されます。これにより、ユーザーの複数の接点を公平に評価し、広告効果を総合的に測定できるようになります。

さらに、AIや機械学習を活用した新しいアトリビューションモデルが、ラストクリック効果の限界を補完する形で普及する可能性があります。このような進化により、広告主はより正確で包括的なデータを基に意思決定を行い、広告戦略の効率性を高めることが期待されます。


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