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広告業界における凹版とは?

広告業界における凹版(おうはん、intaglio printing、仏: gravure)とは、版画技法の一種で、印刷面に凹んだ部分にインクを充填し、圧力をかけて転写する印刷方式を指します。特に高精度で微細な表現が可能なため、広告業界では高品質なポスターやカタログの印刷に用いられることが多く、鮮明で耐久性の高い仕上がりが特徴です。また、大量印刷が効率的に行えるため、新聞や雑誌などのメディア印刷でも活用されています。


凹版印刷の基本的な意味と役割

凹版印刷は、通常のオフセット印刷や凸版印刷と異なり、版面に彫り込んだ凹部にインクを流し込み、紙やその他の印刷媒体に圧力をかけることで、インクが凹部から転写される仕組みです。この凹部にインクを保持することによって、微細な濃淡や色彩表現が可能となり、印刷物に高い解像度をもたらします。

広告業界において、凹版は特に写真やイラストの高精細な再現を求められるカタログ、雑誌、ポスターの印刷に使用されます。細かい階調表現ができるため、鮮やかな発色と豊かな質感が実現でき、広告メディアとしての品質向上に寄与しています。また、耐久性も高く、大量印刷に適しているため、コストパフォーマンスにも優れています。

凹版印刷の歴史と語源

凹版印刷は15世紀のヨーロッパで発展した技術で、当初はエッチングや銅版画として芸術作品の複製に利用されていました。この技法が印刷分野で活用されるようになったのは19世紀に入ってからで、特に新聞や出版物の印刷技術が進化する中で、鮮明な画像や文字の再現が求められるようになり、凹版の利用が増えました。

「凹版」という名称は、印刷面のインクを保持する部分が「凹んでいる」ことに由来します。英語のintaglio(イタリア語の「彫る」を意味するintagliareに由来)や、フランス語のgravureも、いずれも「彫る」という意味合いを持ち、版面に彫り込んでインクを保持する技法の特徴を表しています。

凹版印刷の種類と特徴

凹版印刷には、代表的な方法としてグラビア印刷エッチングの2種類があります。グラビア印刷は、シリンダー(円筒形の版)にインクを乗せ、印刷媒体に圧力をかけて転写する方法で、主に新聞や雑誌、包装材など大量印刷が必要なメディアで使用されています。インクの量をコントロールしやすく、階調や細部まで表現できるため、写真のような画像表現にも向いています。

エッチングは、主に美術作品の印刷で用いられ、金属版を腐食液で加工して凹部を作り、そこにインクを流し込んで印刷する方法です。この技法は手作業による工程が多く、広告や商業印刷としては利用頻度が低いものの、精密な仕上がりが求められる限定版ポスターなどに使われることがあります。

凹版印刷の効果と利点

凹版印刷は他の印刷方式と比較して、高精細な再現性が特徴です。特にグラビア印刷は、写真や複雑なグラデーションを持つ画像の印刷に適しており、広告物やカタログに使われることで商品やブランドの魅力をより一層引き立てます。さらに、インクが凹部にしっかりと固定されるため、印刷面の耐久性が高く、長期間にわたり美しい仕上がりを保てるのも利点です。

また、凹版印刷は大量印刷に向いており、同一品質で長期間の印刷を安定して行えることから、コストパフォーマンスにも優れています。広告業界では、特に発色や印刷の均一性が求められるため、印刷物のブランドイメージを損なわない品質を提供できる点が重視されます。

現代における凹版印刷の役割と展望

現在、凹版印刷はデジタル印刷技術の進化によって、その用途が一部限定的にはなってきていますが、依然として高品質を求められる商業印刷には欠かせない技術とされています。特に高級ブランドの広告や、視覚的インパクトが求められるポスターやディスプレイで多く採用されています。

また、環境配慮の観点からは、インクや版材にエコ素材が使用されるケースも増え、持続可能な広告印刷技術として注目されています。今後も凹版印刷は、美術的価値や広告物の質感を強調する手法として、広告業界での役割を果たし続けるでしょう。


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