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広告業界における香りつき広告とは?

広告業界における香りつき広告(かおりつきこうこく、Scented Advertising / Publicité Parfumée)とは、視覚や聴覚に加え、嗅覚を刺激する要素を取り入れた広告手法を指します。特に香水や食品など香りが特徴の商品を宣伝する際に効果的で、消費者の記憶や感情に強く訴えかけることが可能です。この技法は、製品の体験を広告の段階で提供し、購入意欲を高めることを目的としています。


香りつき広告の歴史と起源

香りつき広告の歴史は比較的新しいもので、1970年代から1980年代にかけて、香水業界での採用を皮切りに発展しました。当初は雑誌広告において、紙に香料を加工して香りを付与する技術が導入されました。これにより、消費者は商品を実際に試すことなく、その特徴である香りを体験できるようになり、購入意欲を高める効果がありました。

この手法がさらに普及したのは2000年代以降です。技術の進化により、香りを効果的に長期間保持する方法が開発され、食品や化粧品、清掃用品などさまざまな業界で応用されるようになりました。また、イベントや店舗ディスプレイにおける香り演出が広告の一環として利用されるケースも増えました。

香りつき広告の種類と技術

香りつき広告は、さまざまな形式で展開されています。以下は主な例です:

  • 香りつき印刷広告:雑誌やカタログの紙面に香料を加工したインクを使用して香りを付与します。
  • 香りつきダイレクトメール:郵送物に香りを施し、開封時に記憶に残る体験を提供します。
  • イベントでの香り演出:会場に香りを漂わせ、ブランドイメージを強調します。
  • デジタル広告の香りデバイス連動:特定の広告やコンテンツ再生時に香りを放出するデバイスを活用します。

香りを付与する技術としては、マイクロカプセル化技術が代表的です。香料を微細なカプセルに閉じ込めることで、一定の条件下で香りを放出する仕組みが一般的です。これにより、印刷物の保存性が向上し、広告効果の持続性が高まりました。

香りつき広告の心理的効果と活用事例

香りは嗅覚を通じて脳に直接作用し、記憶や感情と深く結びついているため、他の感覚に比べて強い印象を与えることができます。これを活用した香りつき広告は、以下のような効果を持っています:

  • 記憶定着効果:香りが記憶に残りやすいため、商品やブランドの認知度向上に貢献します。
  • 感情喚起効果:香りが消費者の感情を刺激し、ポジティブな印象を与えることができます。
  • 購買意欲向上:商品の特長を体験的に訴求することで、購入意欲を高めます。

例えば、香水ブランドが雑誌広告で香りつきサンプルを提供することで、消費者が実際に香りを試し、購買行動に繋げるケースが多く見られます。また、食品メーカーが店舗内で香りを漂わせることで、来店者の食欲を刺激し、販売促進を図る事例もあります。

香りつき広告の未来と課題

香りつき広告は、今後さらに進化することが期待されています。特にAIやIoT技術を活用した香りの個別最適化が注目されています。たとえば、個々の消費者の好みに応じた香りを提供するスマートデバイスや、デジタルコンテンツと香りを連動させる新しい広告フォーマットが登場する可能性があります。

一方で、香りつき広告には課題もあります。過度に強い香りや、不快と感じる香りは逆効果となりかねません。また、香料に対するアレルギーや感受性の違いに配慮した設計が求められます。さらに、香りの保存性や配布コストの問題も、広告展開において克服すべき点です。

総じて、香りつき広告は、消費者の感覚を多角的に刺激する手法として広告業界での可能性が広がっています。今後の技術革新やクリエイティブなアイデアによって、より多様な形で私たちの生活に溶け込む広告手法となることでしょう。


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