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広告業界における肖像権とは?

広告業界における肖像権(しょうぞうけん、Right of Publicity / Droit à l'Image)とは、個人が自らの容姿や姿を無断で利用されないよう保護する権利を指します。広告において、モデルや一般人の写真、動画を使用する際、事前に許可を得ることが必要です。肖像権はプライバシー権や人格権に関連し、権利侵害を避けるため、広告制作において重要な法的基盤となっています。


肖像権の歴史と由来

肖像権の概念は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、プライバシー権の拡大とともに形成されました。アメリカでは1890年に発表された「プライバシーの権利」に関する論文がきっかけとなり、人々が自分の写真や姿を無断で使用されない権利が認められるようになりました。

日本では、肖像権は明文法で規定されていないものの、裁判例や学説によりプライバシー権や人格権に基づく権利として確立されています。特に広告や商業利用においては、個人の承諾なしに肖像を使用する行為が問題視されるようになりました。20世紀後半には、広告業界での肖像権トラブルが増加したことを受けて、肖像権に関する意識が高まりました。

肖像権の重要性と適用範囲

肖像権は、広告制作や配信において以下のような場面で重要性を発揮します:

  • モデル契約:広告でモデルやタレントを起用する場合、事前に肖像利用の許可を明確にした契約を結ぶ必要があります。
  • 一般人の写真使用:イベント写真や街中のスナップ写真を広告に使用する場合、被写体の許可を得なければなりません。
  • デジタル広告:SNSや動画広告での肖像利用にも同様に肖像権の保護が適用されます。

また、肖像権は個人の容姿や映像だけでなく、声やサイン、特定のポーズなど、個人を特定可能な要素にまで適用されることがあります。たとえば、有名人の声やイメージを許可なく広告に利用した場合、肖像権侵害として訴えられる可能性があります。

肖像権の現在の使われ方

現代の広告業界では、肖像権の管理がますます重要視されています。特にSNSの普及により、個人が撮影した写真や動画が広告として使用されるケースが増えています。このような状況下で、企業は許諾の有無を厳格に確認する必要があります。

さらに、AI技術の進化により、肖像の加工や合成が容易になったため、新たな問題も浮上しています。たとえば、AIで生成された「ディープフェイク」が肖像権侵害とみなされる可能性があり、これに対応するための新しい法的枠組みが求められています。

肖像権に関する課題と未来

肖像権には以下のような課題が存在します:

  • 境界の不明確さ:肖像権が適用される範囲が明確でない場合があり、トラブルの原因となります。
  • デジタル時代の新たな問題:AIによる顔認識や画像生成技術の進化が、肖像権侵害をより複雑にしています。
  • 国際的な差異:国ごとに肖像権の適用基準や法的対応が異なるため、グローバルな広告キャンペーンでは注意が必要です。

未来の広告業界では、肖像権保護のための技術や契約システムのさらなる進化が期待されます。たとえば、ブロックチェーン技術を活用した肖像利用の管理システムや、AIによる肖像権チェックツールの開発が進む可能性があります。

総じて、肖像権は広告制作や配信における基本的な法的要素であり、これを適切に尊重することが企業の信頼性を高める鍵となります。消費者や被写体の権利を守りながら、倫理的で効果的な広告制作を行うことが、現代の広告業界に求められる姿勢です。


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