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アパレル業界におけるアパレルCADとは?

アパレル業界の分野におけるアパレルCAD(あぱれるきゃど、Apparel CAD、CAO pour l’habillement)は、服飾パターンの設計やグレーディング(サイズ展開)、マーキング(裁断配置)をデジタル上で行うためのコンピュータ支援設計ソフトウェアを指します。CADは「Computer Aided Design」の略で、アパレル分野では特にパタンナーやデザイナーによる作図・修正作業を効率化し、製造の品質とスピードを大幅に向上させるツールとして広く導入されています。

紙と鉛筆による手作業に代わり、画面上で精密なパターンを作成・編集・保存できる点が最大の特長で、現在では多くのアパレル企業で生産プロセスにおける中核システムとして活用されています。



アパレルCADの定義と機能

アパレルCADとは、服のパターン(型紙)作成やサイズ展開を行うための専用ソフトウェアであり、衣服の設計業務における精度向上と効率化を目的としたツールです。従来は紙上で描かれていたパターンを、デジタルデータとして扱えるようにすることで、修正の迅速化、保存性の向上、トレーサビリティの確保など多くの利点がもたらされました。

主な機能には、ベースパターンの作成、グレーディング(サイズごとのパターン展開)、マーキング(生地への最適な配置)、縫製仕様の入力などがあり、CADデータはそのままCAM(自動裁断機)や3Dシミュレーションソフトと連携して利用されることもあります。これにより、設計から製造までの工程が一気通貫で管理できる体制が整います。



アパレルCADの歴史と語源的背景

アパレルCADは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、欧米を中心に導入が始まりました。当時は製造業全般でCADの導入が進んでおり、その流れを受けて衣料分野にも応用されるようになったのが起源です。1990年代に入ると日本国内でも大手アパレルメーカーを中心に導入が拡大し、現在では中小企業でも一般的に使われるツールとなっています。

「CAD」は「Computer Aided Design」の略であり、元々は建築や機械設計の分野で用いられていた用語です。「アパレルCAD」はこの技術を服飾設計に特化させた形で進化したものであり、ソフトウェアとしては東レの「CREACOMPOⅡ」やユカアンドアルファの「YUKA CAD」などが日本では代表的です。

特に日本国内においては、「CAD=パターン設計ツール」という認識が一般化しており、パタンナーの専門スキルとしてCAD操作能力が求められるようになっています。



現代におけるアパレルCADの活用と発展

現代のアパレル業界において、アパレルCADはデジタル化・効率化の要として欠かせないツールとなっています。サステナブルファッションが求められる中で、サンプル制作を最小限に抑えた設計が可能となるCADは、資源削減・工数短縮にも直結しています。

また、3Dアバターと連動したバーチャル試着、クラウド経由のパターンデータ共有、リモート作業の推進など、ニューノーマル時代の業務環境にも適応しています。CADデータはそのまま工場のCAM機に送信して自動裁断が可能なため、製造プロセスの自動化にも貢献しています。

今後はAIや機械学習を取り入れた自動パターン設計や、身体スキャンデータとの連携によるパーソナライズ設計も進むと考えられており、アパレルCADはテクノロジーとファッションの融合を象徴する存在となりつつあります。



まとめ

アパレルCADとは、パターン設計・グレーディング・マーキングなどの業務をデジタルで行うための設計支援ソフトウェアであり、アパレル生産の効率化と品質向上に不可欠なツールです。

技術の進化とともにその役割は拡張されており、今後はさらなるデジタル連携やサステナビリティ対応の中核機能として、その重要性が一層高まっていくことが予想されます。

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