アパレル業界におけるアームホールとは?
アパレル業界の分野におけるアームホール(あーむほーる、Armhole、Emmanchure)とは、衣類の胴体部分に袖を取り付けるための開口部を指す用語です。特にジャケットやシャツ、ブラウスなどの構造設計において非常に重要な部位であり、着心地やシルエット、動きやすさに大きく影響を与えるパーツとされています。製図やパターン設計の際にもこの用語は頻繁に使われ、専門職間の正確な意思疎通に不可欠な要素です。
アームホールの定義と構造上の役割
アームホールとは、衣類の胴体部分において袖を縫い付けるために設けられる丸くカットされた開口部分のことを指します。袖ぐりとも呼ばれ、服のデザインやシルエット、着用時の快適性に大きな影響を及ぼします。
アームホールの形状や大きさは、デザインの意図、対象となる性別、体型、運動量などによって調整されます。たとえばスポーツウェアでは動きやすさを重視して広めに設計される一方で、フォーマルウェアではフィット感と美しいラインを保つためにタイトに設計される傾向があります。
語源と歴史的背景
アームホールという言葉は、英語の「Arm(腕)」と「Hole(穴)」を組み合わせた造語です。ヨーロッパでは中世以降に袖付きの衣服が主流となるにつれ、パターンメイキングの技術が発展し、この用語も定着しました。
日本においては洋裁技術の導入とともに明治以降に普及し、服飾教育や縫製業界で定番の用語として使われるようになりました。特に戦後のアパレル工業化の進展により、型紙の標準化と量産工程での精度向上が求められる中で、アームホールの設計は重要なポイントとなりました。
現代の活用とデザインへの影響
現在のアパレル業界では、アームホールはデザインと機能性の両面から極めて重要な部位とされています。パターン設計では、アームホールと袖のカーブが正確に合致しないと、着用時にツレやシワが生じやすくなります。
また、ノースリーブの服やアームホールを広く取ったトップスでは、下着の見え方や快適性に配慮することも求められます。ファッションの多様化により、アームホールの設計も機能性一辺倒ではなく、美しさと個性の表現としての役割も増しています。
さらに、近年では3DアパレルCADの導入により、アームホールの立体的な再現と着用シミュレーションが可能となり、設計の自由度と精度が格段に向上しています。
まとめ
アームホールは、衣類の袖と胴体を繋ぐ構造上の要として、デザインや着心地に直結する要素です。その歴史は洋裁技術の発展とともに歩んできたものであり、現代においてもCAD技術やパターンメイキングの進化によって、その重要性はますます高まっています。服作りにおける基本でありながら、繊細な設計と高度な縫製技術が求められる部分です。