ビジプリ > アパレル業界用語辞典 > 【シルエット設計】

アパレル業界におけるシルエット設計とは?

アパレル業界の分野におけるシルエット設計(しるえっとせっけい、Silhouette Design、Conception de Silhouette)とは、衣服の全体的な輪郭やフォルムを計画・デザインする工程を指します。ファッションデザインの核となる要素のひとつであり、素材やカッティング、縫製技術を駆使して狙い通りの形状を創出します。シルエットの設計は着用者の印象や体型補正、動きやすさなどに大きく影響するため、ブランドの個性や時代の流行を反映する重要な設計概念といえます。



シルエット設計の基本と重要性

シルエット設計は、衣服を構成する際の外観的な輪郭を意識的に作り上げるプロセスです。シルエットとは、衣服を着用した際の人の形の「かたち」や「アウトライン」のことであり、たとえばタイト、ルーズ、Aライン、Iライン、Xライン、Yラインなど、複数のバリエーションがあります。これらの形状をどのように実現するかを企画段階から緻密に設計することが、着心地や機能性、美しさに直結します。

シルエット設計は単に型紙を引くだけでなく、使用する素材の特性や縫製工程、装飾のバランスなど多岐にわたる要素と密接に関わっており、アパレル製品の完成度を大きく左右する重要な要素です。



歴史と発展の背景

「シルエット」という言葉は、18世紀フランスの財務大臣エティエンヌ・ド・シルエットの名前に由来しており、当時彼の節約政策を揶揄する意味で、黒い影絵のような簡素な肖像画を「シルエット」と呼ぶようになったことから広まりました。その後、衣服の外観的な輪郭を意味する用語として定着しました。

ファッションの歴史において、時代ごとのトレンドにより好まれるシルエットは大きく変化してきました。たとえば、19世紀のコルセットによるXライン、1920年代のストレートなIライン、1980年代のパワーショルダーによるYラインなど、時代背景や社会情勢がシルエット設計に与える影響は非常に大きいといえます。



現代ファッションにおけるシルエット設計の応用

今日のアパレル業界では、シルエット設計はブランドのアイデンティティを構築する上で重要な役割を担っています。デザイナーはターゲットユーザーの体型やライフスタイル、価値観に応じたシルエットを考案し、それを量産可能な仕様に落とし込む必要があります。

また、サステナビリティや多様性への意識の高まりにより、近年ではジェンダーレスやユニバーサルデザインを前提としたシルエット設計も注目を集めています。3DモデリングやCADなどデジタル技術の進展により、より精緻な設計が可能となっており、人体へのフィット感や動きやすさを重視した立体的なシルエットづくりが進化しています。



まとめ

シルエット設計は、衣服の外見を決定づけるだけでなく、ブランドの方向性や着用者の快適性、トレンド性を左右する極めて重要な工程です。その歴史は長く、技術や社会環境の変化とともに常に進化を遂げてきました。現代のアパレル設計では、単なるデザイン要素としてだけでなく、機能性や倫理性とも結びついた設計が求められています。

▶アパレル業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス