アパレル業界におけるストレッチ素材とは?
アパレル業界の分野におけるストレッチ素材(すとれっちそざい、Stretch Fabric、Tissu Extensible)とは、伸縮性に優れた繊維または生地の総称で、着用時の動きやすさやフィット感を高めるために用いられます。ポリウレタンやスパンデックスなどを混紡した素材が一般的で、スポーツウェアやデイリーウェア、スーツに至るまで幅広く使用されています。
ストレッチ素材の定義と基本的な特徴
ストレッチ素材とは、縦方向または横方向、または両方向に伸縮性を持つ生地のことで、体の動きに合わせて柔軟にフィットする性質があります。この素材は着心地の向上だけでなく、見た目の美しさやシルエットを整える効果もあります。
通常はポリエステルやナイロンなどの合成繊維に、伸縮性の高いポリウレタン(英語ではスパンデックス、仏語ではエラスタン)を数パーセント混ぜることで、適度な伸びと戻りを実現しています。これにより、動作時のつっぱりや不快感を軽減し、アクティブなライフスタイルにも対応できる衣服となります。
ストレッチ素材の誕生と技術的進化
ストレッチ素材の起源は1950年代にさかのぼります。当時、アメリカの化学メーカー「デュポン社」が開発したスパンデックス繊維「ライクラ」は、衣料品の新しい可能性を切り開きました。この新素材は、従来の繊維にはなかった高い伸縮性と耐久性を持ち、多くのアパレルブランドに採用されるようになりました。
1980年代以降、ストレッチ素材はフィットネスブームとともに急速に普及し、スポーツウェアやレギンス、インナーなどで広く使用されるようになりました。その後、技術の進化により、織物や編物の製法でもストレッチ性を持たせることが可能となり、ビジネススーツやデニムなどにも導入されるようになりました。
現在では、生分解性のストレッチ繊維や、環境配慮型の素材開発も進められており、サステナブルな衣料製品への応用も期待されています。
現代ファッションにおけるストレッチ素材の使われ方
ストレッチ素材は、現代アパレルにおいて欠かせない存在となっています。スポーツシーンでは、身体の動きに追従する性能がパフォーマンスを向上させ、日常着ではフィット感と動きやすさを提供し、幅広い世代に人気を得ています。
また、ボディラインに沿った美しいシルエットを演出できるため、レディースアパレルではワンピースやスキニーパンツ、メンズではスリムスーツやシャツなどにも使用されています。特にビジネスシーンでは「動きやすいのにキチンと見える」素材として高評価を得ています。
ストレッチ素材は洗濯や着用によって伸び切ることを防ぐためのケアも重要であり、商品によっては手洗い推奨やアイロンの温度指定なども存在します。現在では、美しさと機能性を両立する素材として、アパレルブランドの重要な選択肢となっています。
まとめ
ストレッチ素材は、快適な着心地と美しい外観を両立させる現代アパレルにおいて不可欠な素材です。機能性・ファッション性・技術革新を背景に、今後もさらに用途が広がっていくと見込まれています。