アパレル業界におけるイレギュラーヘムとは?
アパレル業界の分野におけるイレギュラーヘム(いれぎゅらーへむ、Irregular Hem、Ourlet irr?gulier)とは、裾(すそ)のラインが左右非対称、前後非対称、または波打つように不規則にカットされたデザインを指します。視覚的に動きや変化を与える装飾的な要素として、スカートやワンピース、ブラウスなどに多用され、特にフェミニンでエレガントな印象を演出するために用いられます。スタイルに変化をつけたい際に効果的なデザインの一つです。
イレギュラーヘムの基本的な定義と特徴
イレギュラーヘムとは、「イレギュラー(不規則な)」+「ヘム(裾)」の組み合わせによって生まれた用語で、裾のラインが通常のまっすぐな水平線ではなく、長さが不均一で変化に富んだ形状を持つデザインを指します。前後で丈が異なる「ハイロー(Hi-Low)ヘム」や、左右非対称な「アシンメトリーヘム」、波打つような「フレアヘム」など、さまざまなバリエーションが存在します。
このようなデザインは、視覚的なリズムや軽やかさを演出する効果があり、特に動きのある素材と組み合わせることで、歩いたときの揺れ感や立体的なシルエットが強調されます。フェミニンなスカートやワンピース、またはデザイナーズブランドのシャツやアウターなど、幅広いアイテムに応用されています。
語源とファッション史における背景
イレギュラーヘムという言葉は、英語の「irregular(不規則な)」と「hem(縁取り・裾)」から成り、直訳すれば「不均一な裾」となります。アパレルにおける裾の変形デザインは古くから存在しており、中世ヨーロッパの貴族服飾においても、レイヤードやドレープを活かす中で、自然と非対称な裾のデザインが生まれていました。
近代に入ると、1960年代以降のモード界で個性や自由な表現が重視されるようになり、シンメトリー(対称性)を崩すデザインがファッションの一部として広く取り入れられます。とりわけ1980年代以降のデザイナーズブランドの台頭により、イレギュラーヘムはアバンギャルドで芸術的な要素として再評価され、現在に至るまで多くのコレクションに登場しています。
現代におけるイレギュラーヘムの活用と印象
現代のアパレル業界では、イレギュラーヘムは特に女性向けファッションで高く評価されています。スカートやワンピースの裾に採用することで、歩くたびに表情が変わるような動きが生まれ、視線を引きつける要素となります。また、Tシャツやブラウスなどにイレギュラーヘムを取り入れることで、単なるカジュアルスタイルに立体感やこなれ感を加えることも可能です。
さらに、裾の非対称なカットによって脚やウエストのラインが強調され、体型カバーやスタイルアップの効果も期待できます。春夏には軽やかな素材で爽やかに、秋冬にはレイヤードスタイルとしてアクセントを加えるなど、シーズンを問わず活用できるデザインディテールとして、多くのブランドが積極的に取り入れています。
まとめ
イレギュラーヘムは、裾のラインを不規則にすることでファッションに動きと個性を加えるデザイン要素であり、視覚効果やシルエットの変化を楽しめる魅力的なスタイルです。フェミニンからモードまで幅広いジャンルで採用されており、今後も新たなバリエーションや素材使いによって進化を続けていくことが期待されます。