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アパレル業界におけるインビジブルファスナーとは?

アパレル業界の分野におけるインビジブルファスナー(いんびじぶるふぁすなー、Invisible Fastener、Fermeture invisible)とは、衣服の表面からファスナーが見えないように取り付けられるタイプのファスナーを指します。主にドレスやスカート、スラックスなどのフォーマルウェアやエレガントな衣服に用いられ、美しいシルエットやシームレスなデザインを保つために不可欠なパーツです。縫い目に沿って目立たず仕上げられることから、デザイン性と実用性を兼ね備えたファスナーとして高く評価されています。



インビジブルファスナーの基本的な特徴と役割

インビジブルファスナーは、ファスナーの歯(エレメント)やテープ部分が衣服の外側から見えないように構造化されたファスナーで、縫い代の内側に隠す形で取り付けられます。主に後ろ中心や脇の縫い目に沿って取り付けられ、見た目の美しさやシルエットの崩れを防ぐために重宝されています。

このファスナーは、特にフォーマルドレスやレディーススーツ、ウエディングドレス、タイトスカートなどに使用されることが多く、衣服の完成度を高めるディテールの一つとして位置づけられています。縫製には専用の押さえ金(インビジブル押さえ)が必要であり、繊細な作業を要する反面、仕上がりの美しさは格段に向上します。



語源と技術の進化の背景

インビジブルファスナーという言葉は、「Invisible(見えない)」という英語と「Fastener(締め具)」の組み合わせに由来し、直訳すると「見えない留め具」となります。1950年代後半から欧米を中心に普及し始め、日本のアパレル業界でも1960年代以降に使用が広まりました。

当初は手縫いやフックなどの留め具が主流だった時代において、見た目を損なわずに着脱可能な構造を実現したこの技術は、ドレスメイキングにおける革新とされました。その後、ナイロン素材や射出成型技術の進歩により、より薄く軽量で耐久性に優れたインビジブルファスナーが登場し、多くの衣服に対応できるようになりました。



現代アパレルにおける活用とその意義

現代のアパレル製品では、インビジブルファスナーは単に実用的なパーツとしてだけでなく、ファッションデザインの完成度を高めるための重要な要素とされています。とくにミニマルデザインやクラシカルなシルエットを持つ服においては、目立たない留め具が全体の印象を引き締める役割を果たしています。

また、近年のアパレルブランドでは、サステナブルな素材の採用とあわせて、環境負荷の少ないファスナーの開発にも取り組まれており、インビジブルファスナーにおいてもリサイクル素材や省資源設計の導入が進んでいます。これにより、機能性と環境配慮を両立する取り組みが広がりつつあります。

一方で、着脱のしやすさや耐久性の面でも改良が加えられ、デイリーウェアからオケージョンアイテムまで、幅広いシーンに対応するファスナーとして定着しています。



まとめ

インビジブルファスナーは、衣服の外観を損なわずに機能性を実現する優れたパーツであり、フォーマルウェアやレディースアイテムを中心に広く使用されています。その由来と技術の進化をたどると、ファッションの美しさと快適性を追求する姿勢が見えてきます。今後もデザインと実用性を兼ね備えた重要なファスナーとして、アパレルの進化を支える存在であり続けるでしょう。

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