アパレル業界におけるキルティングとは?
アパレル業界の分野におけるキルティング(きるてぃんぐ、Quilting、Matelassage)は、表地・中綿・裏地の三層構造を縫い合わせる加工技術で、防寒性や装飾性を高める素材として広く活用されています。英語では「Quilting」、フランス語では「Matelassage(マトラサージュ)」と呼ばれ、実用性とデザイン性を兼ね備えた技術としてジャケットやコート、バッグ、アクセサリーなど幅広い製品に用いられています。
キルティングの構造と機能性
キルティングは、表地と裏地の間に中綿を挟み、一定のパターンで縫い合わせることにより、保温性と耐久性を高める加工技術です。縫い方にはダイヤ型、ストライプ型、ボックス型などさまざまなバリエーションがあり、視覚的な装飾効果も備えています。
保温性の高さからアウターウェアによく用いられるほか、クッション性があるためバッグやシューズの素材としても人気です。また、縫い目によって中綿が固定されるため、型崩れしにくく、長く愛用できる製品に仕上がることも特長です。
キルティングの歴史と語源
キルティングの起源は古代エジプトにまでさかのぼるといわれており、当初は防寒や防具としての実用的な目的で使われていました。中世ヨーロッパでは騎士の鎧の下に着るパディングとして用いられ、フランスやイギリスでは手工芸としても発展しました。
「Quilt」という言葉はラテン語の「culcita(クルキタ、詰め物のある布団)」に由来しており、それが英語の「quilt」に転じ、さらに動詞化されて「quilting」という語が生まれました。フランス語では「matelassage」と表現され、寝具などの詰め物加工を含む幅広い意味を持っています。
現代ファッションにおけるキルティングの応用
現代のアパレル業界では、機能性とデザイン性を両立させる素材としてキルティングが活躍しています。特に、秋冬の防寒アウターとしては定番で、ライダースジャケット、モッズコート、ダウンジャケットなどに多用されています。
また、軽量で柔らかい中綿素材を使用することで着心地の良さが向上し、カジュアルからモード系まで幅広いスタイルに対応しています。ファッション雑貨では、キルティングバッグやシューズ、さらにはスカートやワンピースの装飾ディテールにも取り入れられ、装飾性の高さが再評価されています。
まとめ
キルティングは、その起源を古代に持ちながらも、現代ファッションにおいても高い需要を誇る加工技術です。防寒性とデザイン性を併せ持つこの技術は、アパレルからファッション雑貨まで幅広く応用されており、今後も素材や縫製技術の進化とともにさらなる展開が期待されています。