アパレル業界におけるキャリーオーバーとは?
アパレル業界の分野におけるキャリーオーバー(きゃりーおーばー、Carryover、Report de saison)は、前シーズンの商品やデザインを継続して、次のシーズンでも展開することを意味します。トレンドの変化が少ないベーシックアイテムや定番商品に多く見られ、コスト削減や在庫活用の面からも重要な戦略とされています。フランス語では「Report de saison」と表現されます。
キャリーオーバーの基本的な意味と用途
キャリーオーバーとは、アパレル業界で前のシーズンに販売された商品や型番を、そのまま、あるいは少し変更を加えて次のシーズンでも販売することを指します。主にベーシックなTシャツ、デニム、アウター、バッグなど、トレンドの影響を受けにくく、シーズンをまたいでも需要が安定している商品が対象です。
この手法は、企画・生産コストを抑えられる点でもメリットが大きく、ブランドやメーカーにとっては効率的な商品管理の一環です。また、売れ残った在庫をそのまま次シーズンに展開できるため、在庫ロスの削減にもつながります。
キャリーオーバーという言葉の由来とその背景
キャリーオーバーという語は、英語の「carry over(引き継ぐ・持ち越す)」に由来し、もともとはビジネスや会計用語として用いられていました。それがアパレル分野でも転用され、特に商品展開のサイクルにおいてシーズンをまたぐ販売戦略を指すようになりました。
ファッション業界では、春夏・秋冬といった季節ごとのコレクションが基本ですが、毎回すべてを刷新することは非効率であるため、継続的に販売できる商品をキャリーオーバーとして設定することで、ラインナップの安定と収益の確保が可能となります。特に、ブランド独自の定番アイテムは「キャリーオーバー品番」として扱われることが一般的です。
現在のアパレルビジネスにおけるキャリーオーバーの役割
今日のアパレル業界では、キャリーオーバーは商品戦略の柱として定着しています。消費者にとっては、毎年愛用しているお気に入りの商品が継続して購入できる安心感があり、ブランドのリピーター獲得にもつながります。
また、キャリーオーバー品は販売実績があるため、生産量の見込みが立てやすく、無駄のない仕入れが可能となります。近年では、サステナビリティの観点からも、無理に流行を追うのではなく、長く愛される商品を継続して販売する姿勢が注目されており、キャリーオーバーは持続可能なファッションの実現にも貢献しています。
まとめ
キャリーオーバーは、前のシーズンの商品や型番を継続して販売するアパレル業界特有の用語です。定番アイテムや売れ筋商品を安定的に展開できる戦略として、多くのブランドが取り入れており、コスト削減や在庫活用、さらにはサステナビリティ推進にもつながっています。商品企画や販売計画を考える上で欠かせないキーワードです。