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アパレル業界におけるコクーンシルエットとは?

アパレル業界の分野におけるコクーンシルエット(こくーんしるえっと、Cocoon Silhouette、Silhouette Cocoon)とは、1950年代にクリストバル・バレンシアガが発表した、身体を繭のように包み込む丸みを帯びたデザインを指します。その名はフランス語の「Cocon(繭)」に由来し、ウエストを絞らずに丸いフォルムを強調することで、女性らしいやわらかさとモダンな印象を同時に演出します。



コクーンシルエットの歴史と語源の背景

コクーンシルエットの起源は、1957年にクリストバル・バレンシアガ(Crist?bal Balenciaga)が発表したドレスコレクションにあります。当時のファッションはウエストを強調するフィット&フレアが主流であったなか、バレンシアガはあえてウエストを絞らず、身幅にゆとりを持たせた丸みのあるフォルムを提案しました。このデザインは「繭」を連想させることから、フランス語で「繭」を意味する“Cocon”に由来し、〈コクーンシルエット〉と呼ばれるようになりました。

この新しいシルエットは、女性の身体を包み込むような構造と、裾にかけてテーパードするラインが特徴で、上流階級の間で話題を呼びました。1960年代にはいくつかのパリのメゾンがコクーンシルエットを取り入れ、モード界に大きな影響を与えました。その後もコクーンシルエットは進化を続け、現代においてはミニマルな美学やジェンダーレスなデザインとして再評価されています。



コクーンシルエットのデザインと特徴、構造上の魅力

コクーンシルエットの最大の特徴は、肩からヒップにかけてゆったりとした丸みを帯びたフォルムを形成し、裾に向かって細く絞るパターンメイキングにあります。具体的には、肩幅やバストにゆとりを持たせ、ヒップ周りにも余裕をもたせつつ、膝下から裾にかけてテーパードを強調することで、まるで繭が身体を包み込むかのような立体感を生み出します。

また、生地選びも重要であり、ウールやポンチ素材、厚手のニットなど、ある程度のハリと重みを持つ素材が好まれます。これにより、〈コクーンシルエット〉特有のドレープや丸みを美しく表現できます。一方で、シルクやコットンの軽やかな素材を使ったものもあり、季節や用途に応じて多様なテイストを楽しむことが可能です。こうしたデザインは、身体的特徴をさりげなくカバーしつつも、女性らしい柔らかな印象を演出する点で高く評価されています。



現代におけるコクーンシルエットの使われ方とトレンド

近年は、イッセイミヤケ(Issey Miyake)やヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)といったクリエイティブな日本人デザイナーも、コクーンシルエットを自らの世界観に取り入れています。例えば、構築的なパターンメイキングによって極端に丸いラインを強調したり、異素材をミックスして立体的なテクスチャを表現するなど、常に進化を続けています。

また、マタニティウェアやジェンダーレスファッションにおいても〈コクーンシルエット〉は注目されています。ゆったりとしたフォルムが身体の変化に対応しやすく、機能性とデザイン性を両立する点が評価されているため、ワンピースやコート、ジャケットなど、あらゆるアイテムに応用されています。ファストファッションブランドでもコクーンシルエットのワンピースやトップスが定番化しており、カジュアルなデイリースタイルからフォーマルスタイルまで、幅広いシーンで活用されています。

さらに、サステナブルな素材やエコロジカルな生産背景を重視するブランドが、コクーンシルエットを採用するケースも増えてきました。丸みのあるゆったりとした形状は廃棄率を低減しやすいパターンとも言われており、サステナビリティの観点からも支持されています。



まとめ

コクーンシルエットは、1957年にバレンシアガが提案した丸みを帯びたフォルムを皮切りに進化を遂げ、現代ではミニマルかつ機能的なデザインとして定着しています。その特徴的なドレープと立体感は、女性らしいやわらかさを演出しつつ、身体のラインをさりげなくカバーする点で支持されており、マタニティウェアやジェンダーレスアイテムとしても取り入れられています。今後も多様な素材やサステナビリティを意識した形で展開されることで、幅広いユーザーに愛され続けるシルエットです。

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