アパレル業界におけるサイドジップとは?
アパレル業界の分野におけるサイドジップ(さいどじっぷ、Side Zip、Fermeture ?clair lat?rale)とは、衣類やシューズの側面に取り付けられたジッパー(ファスナー)のことです。着脱が容易になるだけでなく、シルエットを崩さずに開閉できるデザインとして、ブーツやブレザー、スカート、パンツなど幅広いアイテムで用いられます。
サイドジップの特徴とデザイン的役割
サイドジップは、前身頃や背面ではなく、身体の側面(脇や股部分など)にジッパーを配置する仕様を指します。ジッパーが側面にあることで、前後のデザインラインをすっきり見せる効果があり、装飾やボタンが不要な分、ミニマルな印象を与えられます。特にブーツやジャケットでは、脱ぎ着の際に脚や上半身を広く動かす必要がなく、快適な着脱性を実現します。
また、スカートやパンツ、ワンピースにおけるサイドジップは、ウエスト周りのフィット感を保ちながら脱ぎ着を可能にする点で重宝されます。前身頃にジッパーを配置するとデザインが分断されがちですが、側面に配置することでドレープやシルエットをそのまま楽しめるのも魅力です。ジッパーの色やテープ部分を本体と同色にすることで、目立たない仕上がりを実現しつつ、必要に応じて異色テープを配し、アクセントデザインとすることもあります。
サイドジップの由来と歴史的背景
サイドジップのルーツは、19世紀末から20世紀初頭にかけてジッパー(ファスナー)が発明されたことに始まります。1913年にアメリカで発明された初期のジッパーは「クロージャー付きブーツ」など、当初は靴や軍服に多用されました。1920年代には衣料にも応用され、脱着の手間を軽減する機能が注目されました。
1950年代以降、女性用ドレスやスカートでは細身のウエストシルエットを保ちつつ着脱を容易にするために、サイドに隠しジップを配置するデザインが主流となりました。フランスやイタリアの高級メゾンでは、ボディラインを綺麗に見せるためにあえてジッパーを側面に縫い込み、シルエットを重視。こうしてサイドジップはファッション性と機能性を両立する手法として定着しました。
現代のファッションにおけるサイドジップの使われ方
近年では、サイドジップはシューズ、特にブーツやスリッポンタイプのカジュアルシューズで一般的に見られます。レザーブーツやスウェードブーツにサイドジップを付けることで、すばやく着脱でき、長時間履いても足首が締め付けられにくい工夫がされています。色味や金具の仕上げによって、ロックテイストやモード感を強調するデザインも増えています。
アウターでは、レザージャケットやコートにサイドジップを配置し、裾の開閉でシルエットの変化を楽しめるようにする仕様が人気です。例えば、バイカージャケットの裾にジップを加え、バタつきを抑えながらライディングポジションに対応できるよう工夫されています。
スカートやパンツ、ドレスにおいては、高級感を出すために見えないサイドシームジップ(インビジブルジップ)を取り入れ、シームレスな美しいラインを実現します。最近では、サイドジップをあえて表に見せて配色や異素材を組み合わせることで、アクセントディテールとするアイテムも登場しています。
まとめ
サイドジップは、衣類やシューズの側面に配置されたジッパーで、シルエットを崩さずに脱着を容易にする機能的なデザイン要素です。20世紀初頭のジッパー発明以来、ファッション性と実用性を兼ね備えた仕様として発展し、現代ではシューズからアウター、スカートやパンツまで幅広く採用されています。シンプルな見た目でありながらコーディネートに変化をもたらす、アパレルアイテムにおける欠かせないディテールです。