アパレル業界におけるサイドラインとは?
アパレル業界の分野におけるサイドライン(さいどらいん、Side Line、Ligne lat?rale)とは、パンツやジャケット、スウェットなどの衣類の側面に配されたライン(ストライプ)のことです。スポーティな印象を与えつつ、視覚的に脚長効果や縦の引き締め効果を付与し、ブランドアイデンティティを強調するデザイン要素として幅広く用いられます。
サイドラインの特徴とデザイン的役割
サイドラインは、衣服の左右の側面に縦長のラインを入れることで、動きやすさとシャープな印象を両立させるディテールです。主にパンツやジャージに用いられ、歩行時や動作時にストライプが視覚的に動きを強調し、スポーティな雰囲気を演出します。また、縦方向のラインは脚を長く見せる効果があり、シルエットを引き締めるアクセントとしても機能します。
ジャケットやスウェットトップスの袖側面にサイドラインを入れる場合は、肩から手首まで繋がる視線誘導により全体のシルエットがスリムに見える効果があります。さらに、サイドラインにはブランドロゴや配色を組み合わせたアイキャッチとしての役割もあり、着用者が動くたびにラインが目を引き、個性を際立たせます。
サイドラインの由来と歴史的背景
サイドラインの起源は、20世紀中盤のスポーツウェアにあります。もともとは陸上競技やサッカーのユニフォームで、選手の背番号やチームカラーを際立たせるために側面にラインを入れたのが始まりです。1960年代のトラックパンツでは、両サイドに太めのコントラストカラーラインを施し、ピッチ上での識別性を高めました。
1970年代~80年代にかけては、ヨーロッパやアメリカのスポーツブランドがサイドライン入りのジャージをファッションシーンにもたらし、アスレジャー(Athleisure)文化を形成します。日本国内では1980年代後半にストリートファッションとして取り入れられ、特にヒップホップカルチャーの影響で太めのラインが注目を集めました。フランスでは“Ligne lat?rale”として同様にスポーツブランドの象徴的なディテールとなり、機能性とデザイン性の融合を象徴する要素として定着しています。
現代のファッションにおけるサイドラインの使われ方
現代では、サイドラインはスポーツウェアだけでなく、ハイファッションやカジュアルコレクションにも取り入れられています。ストリートブランドでは、リフレクティブ素材を用いたラインを配し、夜間の視認性を高める仕様が人気です。また、ミニマルなモノトーンコーデに細いカラーストライプを入れることで、シンプルながらもアクセントを効かせたデザインとして提案されています。
さらに、女性向けランウェアやヨガウェアでは、圧着効果のあるサイドラインを配置し、脚をすっきり見せつつもストレッチ性を損なわない設計のものが登場。日常向けでは、デニムパンツのサイドシームにレザーストライプを配してモード感を演出するデザインなど、異素材ミックスによるニュアンス付けがトレンドです。
サイドラインはまた、ジェンダーレスファッションにおいても注目されており、ユニセックスのルーズパンツやオーバーサイズシャツに太めのラインを入れることで、スポーティかつ中性的なスタイルを表現しています。ブランドロゴをライン状に繰り返す“ロゴテープ”も、サイドラインの進化形として、アイコニックなブランドアイデンティティを強調する役割を担っています。
まとめ
サイドラインは、衣料の側面に配された縦長のラインで、視覚的な脚長効果や縦の引き締め効果を与えるほか、スポーティな印象やブランドアイデンティティを表現するデザイン要素です。20世紀中盤のスポーツウェアに起源を持ち、現在ではストリート、ハイファッション、アスレジャーまで幅広く応用される定番ディテールとして進化しています。