アパレル業界におけるサークルスカートとは?
アパレル業界の分野におけるサークルスカート(さーくるすかーと、Circle Skirt、Jupe circulaire)とは、ウエストを中心に円形に生地を裁断したフレア状のスカートです。裾が大きく広がる美しいドレープが特徴で、レディライクな印象を与えます。
サークルスカートの特徴とデザイン的役割
サークルスカートは、その名の通り生地を円形に裁断し、ウエスト周囲のみ縫い縮めることで、360度フルフレアの広がりを実現したスカートです。円周が均一なため、歩くたびにゆらゆらと揺れる優雅なドレープが生まれ、女性らしいAラインシルエットを強調します。ウエスト位置はハイウエストからミッドウエストまでバリエーションがあり、着用者の体型に合わせてスリムなウエストラインを演出しつつ、ボリューム感のある裾がスタイルアップ効果をもたらします。
また、サークルスカートは、生地の分量を変えることでさまざまなボリュームを表現できます。たとえば、フルサークル(円周分量が多い)ではゴージャスなふんわり感を出し、ハーフサークル(円周分量が半分)では控えめなフレアを楽しめます。光沢のあるサテンやプリーツ加工を施した生地を使用すると、立体感と華やかさが増し、ドレススタイルやパーティーシーンにも適応します。
サークルスカートの由来と歴史的背景
サークルスカートのルーツは、19世紀後半の欧米で、ハイウェストのクリノリンを簡略化し、より軽やかに見せるために考案されたとされています。当時はコルセットと組み合わせて着用され、あでやかなシルエットがステータスシンボルだった貴婦人階級に人気でした。
20世紀に入ると、第一次世界大戦後の実用主義の潮流でボリュームは抑えられましたが、1950年代のクリスチャン・ディオールの「ニュー・ルック」によって再び脚光を浴びます。ディオールはボリュームあるフレアスカートを提案し、サークルスカートに近いフォルムが盛り込まれました。その影響で1950年代のピンクスカートブームやロカビリー文化において、サークルスカートは若者のダンスシーンでも定着し、ティーンエイジャー文化の象徴的アイテムとなりました。
現代のファッションにおけるサークルスカートの使われ方
現代では、サークルスカートはヴィンテージリバイバルやレトロモダンの潮流とともに再評価されています。ミディ丈のサークルスカートは、ブラウスをタックインし、クラシカルなエレガンスを演出。ロマンティックな小花柄やチェック柄で、春夏のフェミニンカジュアルを楽しむことができます。
また、プリーツサークルスカートやタフタ素材を用いたモデルは、結婚式やパーティーシーンでも人気です。レザーやデニム素材でアレンジしたサークルスカートは、ストリートモードを表現し、エッジの利いた着こなしが可能です。タイトなトップスと組み合わせてコントラストシルエットを作ることで、モダンスタイルにも応用できます。
さらに、サステナブルファッションの観点から、リサイクルコットンやオーガニックリネンを使用したサークルスカートが登場。エコフレンドリーな素材を用いながら、ボリューム感とエレガントなドレープを保つことで、環境配慮とトレンド性を両立させています。また、アップサイクルデニムを円形にカットしたリメイクサークルスカートも、ユニークなヴィンテージ風デザインとして注目されています。
コーディネート例としては、サークルスカートにスニーカーとTシャツを合わせたカジュアルダウンスタイルや、ヒールサンダルとリネンシャツで上品にまとめたオフィスカジュアルなど、多岐にわたります。ウエストマークベルトを使い、シルエットにアクセントを与えることで、スタイルアップを図ることも可能です。
まとめ
サークルスカートは、ウエストを中心に円形に裁断した360度フルフレアのボリューム感が特徴的なスカートです。19世紀末の欧米貴族のドレスから始まり、1950年代のニュールック、70~80年代のロカビリーまでさまざまな文化を経て現代に至ります。フェミニンなAラインからモードなデニムアレンジ、サステナブル素材活用まで、多様な進化を遂げたアイテムとして、今後もアパレル業界で愛され続けるでしょう。