アパレル業界におけるシースルーとは?
アパレル業界の分野におけるシースルー(しーするー、Sheer・See-through、Transparence)とは、透け感のある薄手素材を用い、衣服の下に重ね着や素肌が透けて見えるデザイン手法を指します。軽やかな光沢とエアリーな質感が特徴で、フェミニンなブラウスやドレスだけでなく、ストリートやモードウェアにも採用され、セクシーさと抜け感を演出します。
シースルーの特徴とデザイン的役割
シースルーは、主にチュール、オーガンジー、メッシュ、レースなどの薄手で軽量な織り・編み地を用いた素材を指します。生地に透け感を持たせることで、視線を引きつけるデザインを実現し、肌見せのエレガントさやコントラスト効果を強調します。ブラウスの袖部分や胸元、背中部分にシースルーパネルを挟むことで、フェミニンかつセクシーな印象を与えるほか、ドレス全体をシースルー素材で作ることでレイヤードの奥行きや夜光のような軽やかさを演出できます。
デザイン上、シースルーは透ける部分を意図的に配置することで、部分的な肌見せやプリントや刺繍を浮かび上がらせる技法としても用いられます。例えば、袖口や襟元を透け素材に切り替えることで、コンサバティブなオフィスウェアにも程よい抜け感と女性らしさをプラスできます。また、スカートやパンツのレイヤードとして、インナーペチコートやレギンスとの組み合わせで、コーディネートの奥行きと軽快さを楽しむことが可能です。
シースルーの由来と歴史的背景
シースルーという概念は、20世紀初頭のフランスで薄手のシルクオーガンジーやチュールをドレスに用いたオートクチュールにルーツがあります。1920年代、フラッパー文化の影響で女性たちは大胆な肌見せを許容し、軽やかなチュールドレスが流行しました。特に、ココ・シャネルやジョルジュ・バルマンなどのデザイナーが、透明感のある素材で遊び心を加えるデザインを提案したことで、シースルー素材は高級ファッションの象徴となりました。
1950~60年代には、バレエチュチュやイングリッシュガーデンのレースドレスが映画や舞台を通して注目され、レースやメッシュで肌を覗かせるスタイルが普及しました。その後、1980年代のエックスレイズームーブメントや1990年代のグランジファッションでは、メッシュのトップスを重ね着するストリートスタイルが台頭し、シースルー素材はカジュアルウェアのエッジ要素として定着しました。
現代のファッションにおけるシースルーの使われ方
現代では、シースルーはフォーマルからカジュアルまで幅広く取り入れられています。パーティードレスやイブニングガウンでは、全身をシースルー素材で仕立てるデザインが高級ラインで多く見られ、刺繍やビーズ、テクニカルプリントを浮かび上がらせることで、華やかさと奥行きを演出します。
一方で、ストリートブランドやファストファッションでは、メッシュトップスやブラトップの重ね着としてシースルーを活用し、スポーティ×フェミニンなスタイルがトレンドとなっています。例えば、スポーツブラの上にシースルーシャツを羽織り、タンクトップやキャミソールとのレイヤードで、程よい肌見せと動きやすさを両立したコーディネートが人気です。
インナーウェア分野では、レースやメッシュのブラレットにレイヤードできるシースルーキャミソールやボディスーツが注目されています。特に、ワイヤレスブラスと透明素材の組み合わせによって、ランジェリーを見せるファッションが日常化しつつあり、ショートパンツやデニムジャケットとの相性も良好です。
また、サステナブルファッションのトレンドを受け、リサイクルポリエステルメッシュやオーガニックコットンチュールなどのエコ素材が開発され、シースルーアイテムにも環境配慮の概念が取り込まれています。これにより、トレンド性とエシカル要素を同時に叶えるデザインが増え、消費者の選択肢が拡大しています。
さらに、高機能シースルーとして、UVカットや抗菌防臭機能を備えたメッシュ素材が登場。アウトドアやフェス、夏のフェスティブウェアとしても活躍しています。また、デジタルプリントやレーザーカット加工を施したシースルーは、モードブランドのレディツーウェアやコレクションで斬新な表現を見せる手法として定番化しています。
まとめ
シースルーは、透け感のある薄手素材を用いて肌の一部または下のレイヤーを見せるスタイリング手法です。1920年代のオートクチュールで始まり、モードからストリート、インナーウェアまで幅広く進化しました。現代ではパーティーウェアやカジュアルウェア、サステナブル素材、高機能素材など多様な形で展開され、フェミニンさ・エアリーさ・エシカル要素を同時に表現できる重要なデザイン要素として定着しています。