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アパレル業界におけるシェルボタンとは?

アパレル業界の分野におけるシェルボタン(しぇるぼたん、Shell Button、Bouton coquille)とは、貝殻(主にマザーオブパール)を薄く削り出して作られたボタンのことです。天然の光沢奥行きのある色合いが特徴で、高級感を演出するためにシャツやジャケット、ドレスなどに用いられます。耐久性上品な質感を兼ね備え、フォーマルからカジュアルまで幅広いアイテムに採用されています。



シェルボタンの特徴とデザイン的役割

シェルボタンは、主に貝殻(マザーオブパールや白蝶貝など)から切り出した薄い円盤状の部材を、研磨染色などの加工を経て仕上げたボタンです。貝本来の虹色の光沢(虹彩効果)自然な凹凸が生み出す立体感が魅力で、光の当たり方によって表情が変わるため、衣装に上品なアクセントを加えます。プラスチック製のボタンにはない高級感と重厚感を持ち、特にホワイトや淡いアイボリー系は、フォーマルウェアシャツのカフスジャケットのフロントなどに多用されます。

また、シェルボタンはカラー染色されたバリエーションも多く、ブランドアイデンティティを反映する色味を再現できます。貝の自然な模様を活かしたマーブル調や、艶を抑えたマット仕上げもあり、クラシカルな趣からモダンな印象まで、多様なデザインに対応します。ボタン自体が小さなオブジェクトとなるため、デザインディテールの一部としても重要な役割を果たします。



シェルボタンの由来と歴史的背景

シェルボタンの起源は、古代エジプトやローマ時代にさかのぼります。貝殻は古来より装飾品や貨幣、護符として珍重され、装飾品としての価値が高かったため、衣類を留める際にも貝殻をそのままボタン代わりに用いる例がありました。18世紀のヨーロッパでは、上流階級のドレスに用いられ、真珠の育つ貝殻を加工してボタンに仕立てる技術が発達しました。

19世紀に入ると、イギリスやフランスの工房で貝殻の研磨・染色技術が確立され、マザーオブパールボタンとして大量生産が可能となります。これにより、ヴィクトリア朝期には上着やコートの装飾として定番化し、産業革命を経て世界各地に広まりました。日本でも明治期に洋装文化が普及すると同時に輸入・模倣され、和装の帯留めから洋装のボタンへと応用されました。



現代のファッションにおけるシェルボタンの使われ方

現代では、シェルボタンは高級ブランドからカジュアルブランドまで幅広く採用されています。シャツの第一ボタンやカフスボタンとして、細部にこだわりを見せるアイテムに使用されることが多く、特にホワイトやライトパールカラーはビジネスウェアで定番化しています。また、ジャケットやコートのフロントボタンには大きめのシェルボタンが配され、エレガントな着こなしを演出します。

さらに、カジュアルウェアやデニムジャケットにも取り入れられるようになり、あえてパールホワイトのシェルボタンを配してコントラストをつける手法が流行しています。これにより、程よいきちんと感リラックス感の融合が可能となります。近年では、サステナブル志向に合わせて、再生貝殻を利用したエコシェルボタンも開発され、環境負荷を低減しつつ高級感を維持するアイテムが増えています。

シェルボタンは取り外しやすいため、カスタマイズやリペアも容易です。服が古くなってもボタンを付け替えるだけで印象を刷新できるため、長く愛用できる要素としても重宝されています。オンラインショップでは、ボタン単体販売を行うブランドもあり、個人での着せ替えやリメイク需要に応えています。



まとめ

シェルボタンは、マザーオブパールなどの貝殻を加工して作られた光沢と深みのあるボタンで、18世紀のヨーロッパから続く高級装飾文化を受け継いでいます。現代では、ビジネスウェアからカジュアルウェアまで幅広く採用され、上品なアクセントと耐久性を提供します。サステナブル素材の活用やカスタマイズ性の高さから、今後もアパレル業界で欠かせないディテールとして進化し続けるでしょう。

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