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アパレル業界におけるチェスターフィールドコートとは?

アパレル業界の分野におけるチェスターフィールドコート(ちぇすたーふぃーるどこーと、Chesterfield Coat、Manteau Chesterfield)とは、19世紀のイギリスで生まれた、格式高くクラシックなスタイルのロングコートを指します。テーラードジャケットの延長として構築的なシルエットを持ち、襟にベルベット素材を用いたものが代表的です。元はメンズのフォーマルアウターとして着用されていましたが、現在ではレディースファッションにも応用され、ビジネスからカジュアルまで幅広く展開されています。現代でもその上品で洗練されたデザインは、アウターウェアの定番として多くのブランドに採用されています。



チェスターフィールドコートの起源と語源

チェスターフィールドコートの起源は19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝時代にさかのぼります。この名称は、第6代チェスターフィールド伯爵(Earl of Chesterfield)フィリップ・スタンホープに由来するとされており、彼が着用したことからその名が広まりました。彼は上流階級のファッションリーダーとしても知られ、洗練された装いを象徴する存在でした。

このコートは当時のメンズファッションに革命をもたらし、従来のフロックコート(腰丈で前開きの燕尾型の上着)に代わる、よりシンプルかつ実用的なフォーマルアウターとして受け入れられました。時代を経て、そのデザインはフォーマルから日常着まで用途を広げ、20世紀にはレディースウェアとしても一般化されていきました。



デザインの特徴と構造

チェスターフィールドコートは、基本的にストレートなシルエット膝丈からロング丈の構造が特徴です。ラペル(襟)はノッチドラペルやピークドラペルが一般的で、クラシカルな印象を演出します。また、初期モデルでは襟部分に別素材としてベルベットが使われており、高級感と差別化の演出に一役買っています。

前開きはシングルブレストまたはダブルブレストで、ボタン数やポケットの形状もブランドや時代によって変化します。裏地にはサテンなどの滑りの良い素材が使われ、内ポケットの仕様やライナーの取り外しなど、機能面にも工夫が施されています。

素材には主にウールやカシミヤなどの天然繊維が用いられ、保温性と耐久性を兼ね備えています。現代ではポリエステルやブレンド素材を使用した軽量モデルも登場しており、着心地の良さとスタイルの両立が図られています。



現代におけるチェスターフィールドコートの位置づけと活用

現在ではチェスターフィールドコートはクラシックでありながらモダンな印象を持つアウターウェアとして、ビジネススタイルにもカジュアルスタイルにも活用されています。男性用ではスーツの上から羽織る定番コートとして、冬場のフォーマルシーンに不可欠な存在です。

一方、レディースファッションではタイトなシルエットで身体のラインを美しく見せるデザインや、オーバーサイズでトレンド感を取り入れたスタイルも多く見られます。色もブラックやグレー、ネイビーといった定番色から、ベージュ、キャメル、チェック柄など、季節や流行に応じた展開が豊富です。

近年ではジェンダーレスファッションの影響もあり、ユニセックスなアイテムとして提案されることも多くなっています。コーディネートにおいては、ドレスアップスタイルだけでなく、パーカーやデニムと合わせたミックススタイルなど、幅広い表現が可能です。



まとめ

アパレル業界におけるチェスターフィールドコートとは、19世紀イギリスの上流階級にルーツを持つ、端正でフォーマルな印象のロングコートです。構築的なデザインと高級感ある素材使いが特徴であり、現代でもビジネスからカジュアルまで幅広く支持されています。伝統を受け継ぎながらも、トレンドと融合し進化し続けるアウターとして、今なおアパレル業界において重要な存在となっています。

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