アパレル業界におけるトラッドスタイルとは?
アパレル業界の分野におけるトラッドスタイル(とらっどすたいる、Traditional Style、Style traditionnel)とは、伝統的な服装様式を基盤としたクラシックかつ上品なファッションスタイルのことです。イギリスやアメリカの名門校や紳士文化にルーツを持ち、ブレザー、シャツ、ネクタイ、スラックスなどを中心に構成されます。時代を問わず流行に左右されにくい点や、知的で落ち着いた印象を与える点から、ビジネスやフォーマルな場面だけでなく、カジュアルファッションにも取り入れられています。
トラッドスタイルの語源と歴史的背景
トラッドスタイルは、「トラディショナル(Traditional)」の略語で、「伝統的な」「格式ある」といった意味を持ちます。英語では'Traditional Style'、フランス語では'Style traditionnel'と表記されます。このスタイルの起源は、19世紀のイギリスにおける上流階級の服装文化にあり、特にパブリックスクールやオックスフォード大学・ケンブリッジ大学などの学生ファッションから発展したとされています。
その後、20世紀初頭にアメリカ東部の名門大学群(アイビーリーグ)でも独自の発展を遂げ、いわゆる「アイビールック」が誕生します。この流れを日本に紹介したのが、1960年代のVANジャケットなどのブランドで、そこから「トラッド」あるいは「ニュー・トラッド」というスタイルが広まりました。知性・品格・規律といった価値観を視覚的に表現するファッションとして、現在でも高い人気を誇ります。
トラッドスタイルの特徴とアイテム構成
トラッドスタイルの基本は、構築的でシンプルなシルエットと高品質な素材使いにあります。典型的なアイテムとしては、紺ブレザー、ボタンダウンシャツ、ウールスラックス、プリーツスカート、ネクタイ、ローファーなどが挙げられます。これらは全体として、清潔感と端正さを印象づけるスタイルを形成します。
色合いはネイビー、グレー、ベージュ、ホワイトといったベーシックカラーが多く、柄はチェック(特にタータンやハウンドトゥース)、ストライプ、無地などが中心です。小物使いでは、レザーのベルトやバッグ、金ボタン、スカーフなどでアクセントを加えることが多いです。これらの要素をうまく組み合わせることで、日常のカジュアルからオフィスカジュアルまで幅広く対応可能です。
現代ファッションにおけるトラッドスタイルの活用
現代においても、トラッドスタイルは変わらぬ人気を保っており、流行に左右されにくい「定番」のスタイルとして広く支持されています。特に「ネオトラッド」や「プレッピー」と呼ばれるスタイルは、伝統的なアイテムをベースにしながらも、現代的なシルエットや素材でアップデートされたファッションとして若年層にも浸透しています。
また、ユニセックス化の流れやジェンダーレスな表現の増加により、女性向けのトラッドスタイルも注目を集めています。チェック柄のスカートやジャケット、オーバーサイズのシャツなど、メンズライクなアイテムを取り入れたスタイリングが多く見られます。フォーマルさと自由さのバランスを持つため、ビジネスシーンやスクールスタイル、カジュアルなデートコーデにまで活用可能なスタイルです。
まとめ
アパレル業界におけるトラッドスタイルとは、イギリスやアメリカの伝統的な服装文化にルーツを持ち、品格と知性を感じさせるクラシックなファッションスタイルです。ブレザーやシャツ、スラックスといった定番アイテムを中心に構成され、時代を超えて愛される汎用性の高いスタイルです。トレンドを意識しながらもブレないファッションを求める現代人にとって、トラッドスタイルは信頼できる選択肢の一つであり、今後もその価値は揺るがないでしょう。