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アパレル業界におけるトレンドカラーとは?

アパレル業界の分野におけるトレンドカラー(とれんどからー、Trend Color、Couleur tendance)とは、特定のシーズンや時代背景、社会的ムードに基づいてファッション業界で注目される色のことを指します。これらのカラーは、世界のトレンド予測機関やブランド、デザイナーによって選定され、シーズンごとのコレクションや商品企画に反映されます。トレンドカラーは市場の動向を象徴するだけでなく、消費者の感情や価値観とも密接に結びついており、ファッションデザインやスタイリングに大きな影響を与えています。



トレンドカラーの語源と歴史的背景

トレンドカラーは、英語の“trend”(流行)と“color”(色)を組み合わせた言葉で、直訳すると「流行色」となります。フランス語では“Couleur tendance”と表現され、ファッションをはじめとするデザイン業界において、時代性や社会のムードを象徴する色として位置づけられています。

トレンドカラーの概念が明確になったのは20世紀中頃以降であり、特に1940年代後半から1950年代にかけて、アメリカやヨーロッパで色彩の流行に注目する動きが高まりました。現在では、アメリカのパントン社(Pantone)やフランスのインターカラー(Intercolor)などの国際的な色彩機関が中心となり、1?2年前から予測・発表が行われます。これにより、グローバルなファッションブランドは計画的に製品開発を行い、世界中の市場で統一感のあるビジュアル戦略を展開することが可能となっています。



選定のプロセスと社会的影響

トレンドカラーは単にデザイン的な要素だけでなく、経済情勢、気候変動、文化・芸術、政治、テクノロジー、ジェンダー観など多様な要因を背景に決定されます。たとえば、不安定な社会情勢の中では落ち着きや安心感を与えるアースカラーが支持される傾向にあり、反対に未来志向が高まる時期には鮮やかでポジティブなカラーが注目されやすくなります。

こうした色彩は、ファッションデザイナーだけでなく、インテリア、プロダクトデザイン、化粧品、広告業界などにも波及し、トレンドカラーはライフスタイル全体を形成する重要な指針ともなっています。デザインの方向性を視覚的に統一し、ブランドや製品に時代性を持たせるための手段として不可欠な要素です。



現代ファッションにおけるトレンドカラーの役割

現代のアパレル業界では、トレンドカラーはコレクションのテーマ性を示すシグナルとして活用されます。春夏や秋冬などのシーズンごとに複数の注目色が発表され、ブランドごとにそのテーマに沿った商品展開が行われます。また、商業的な観点からもトレンドカラーは重要で、消費者の購買意欲を刺激する視覚的戦略として機能しています。

SNSやECサイトでのビジュアル表現にもトレンドカラーは密接に関わっており、ユーザーが流行を瞬時にキャッチしやすい環境が整ってきています。Z世代を中心に個性や感性に合ったトレンドカラーを選ぶ傾向も強まっており、ブランド側は多様なパレット展開でそのニーズに応えようとしています。



まとめ

アパレル業界におけるトレンドカラーとは、時代や社会の変化を色彩に反映させた象徴的なカラー群であり、製品のデザインから販売戦略に至るまで幅広い影響を与える重要な要素です。国際的な色彩機関の選定により、グローバルなファッションシーンに統一感をもたらすと同時に、個々のブランドや消費者にとってのアイデンティティ形成にも寄与します。今後もトレンドカラーは、社会とデザインをつなぐインターフェースとして、ますます重要な役割を担っていくことでしょう。

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