アパレル業界におけるトレーナーとは?
アパレル業界の分野におけるトレーナー(とれーなー、Sweatshirt、Sweat ? col rond)とは、主にコットンやポリエステル素材で作られた長袖のカジュアルトップスを指し、スウェットシャツとも呼ばれます。日本では特に裏起毛素材で保温性に優れたタイプが多く見られ、スポーツウェアとしてだけでなく、日常のカジュアルスタイルやストリートファッションにも広く取り入れられています。快適な着心地とシンプルなデザインが特徴で、年齢や性別を問わず人気のアイテムです。
トレーナーの語源と歴史的背景
トレーナーの語源は、英語の“sweatshirt”(スウェットシャツ)にあり、日本ではなぜか“トレーナー”という和製英語が定着しています。本来の英語圏で“trainer”といえば、運動指導者やスポーツ用シューズのことを意味し、衣類としての“トレーナー”という使い方はされません。
このアイテムは1920年代のアメリカで誕生し、アスリートのウォームアップ用ウェアとして開発されました。汗を吸収しやすい裏毛(ループ状)コットン素材を使用し、伸縮性に富んでいたことから、運動時にも快適に着用できる服として注目されました。1950年代以降は大学やスポーツチームのロゴをあしらったカレッジスタイルとして若者の間で流行し、ファッションアイテムとしての地位を確立していきます。
特徴と素材、機能性
トレーナーの最大の特徴は、裏地にパイル地や起毛加工を施した生地による保温性と吸湿性です。通常はコットン100%またはポリエステルとの混紡生地が使用され、肌触りが良く、洗濯にも強いという利点があります。
襟元はクルーネックが定番ですが、近年ではモックネックやハーフジップ、オーバーサイズシルエットなどのバリエーションも豊富です。また、袖口や裾にリブ(伸縮素材)が施されているため、冷気の侵入を防ぎつつ、身体に程よくフィットする構造になっています。プリントや刺繍による装飾がされることも多く、ブランドロゴを大きく配置したものや、アートを融合させたデザインも人気です。
現代のファッションにおけるトレーナーの役割
現代では、トレーナーは性別や年齢を問わず着用され、カジュアルファッションの基本アイテムとして定着しています。特に秋冬のシーズンには、レイヤードスタイルやセットアップスタイルの中核を担う存在です。
アスレジャーやストリートファッションの潮流の中で、機能性とデザイン性の融合が重視されるようになり、素材の改良やデザインの多様化が進みました。ユニクロやGUなどのファストファッションブランドから、ハイブランドのラグジュアリースウェットまで幅広く展開されており、価格帯も用途も多岐にわたります。また、サステナブル素材を用いたエココンシャスな製品も注目されており、環境への配慮がなされたトレーナーの開発も進んでいます。
まとめ
アパレル業界におけるトレーナーとは、快適性と実用性を兼ね備えたカジュアルウェアであり、もともとはスポーツシーンに起源を持ちながらも、現在ではファッションとしての役割が大きくなっています。和製英語としてのユニークな定着も含め、時代とともに進化を続けるベーシックアイテムとして、今後も多くのシーンで活用されることが期待されます。