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アパレル業界におけるトーンオントーンとは?

アパレル業界の分野におけるトーンオントーン(とーんおんとーん、Tone on Tone、Ton sur ton)とは、同一色相で明度や彩度の異なる色を組み合わせて、統一感のある洗練されたスタイリングを構築するカラーコーディネート技法を指します。控えめながらも奥行きと立体感を演出できるため、上品で知的な印象を与えるスタイルとして、モードからビジネス、日常の装いまで幅広く用いられています。



トーンオントーンの語源と概念

トーンオントーンは、英語の“tone on tone”に由来し、「トーン(色調)の上にトーンを重ねる」ことを意味します。フランス語では“Ton sur ton”と表記され、同一色相でありながら、異なる明度・彩度の色を重ねることで、視覚的に奥行きや繊細な変化を感じさせる技法です。

ファッションにおいては、ベージュの濃淡やブルー系のグラデーションなど、色味を揃えながら濃さを変えることで、シンプルかつ上品なコーディネートが実現されます。トーンオントーンは、アートやインテリアの分野でも同様のコンセプトで使われることがありますが、アパレル分野では特にエレガンスを演出するための有効なテクニックとして知られています。



歴史とファッションにおける応用

トーンオントーンという概念自体は明確な起源を持たないものの、20世紀中頃のオートクチュールやプレタポルテのデザイナーたちが、色彩と造形の調和を重視した作品づくりの中で徐々に普及していきました。

特に1970?1980年代のヨーロッパのハイブランドでは、過剰な色彩を避けつつも、素材感やシルエットで差をつけるミニマリズムの一環として活用されました。90年代の「ノームコア」や現代の「サステナブルファッション」においても、色数を抑えた落ち着きのあるトーンオントーンスタイルは好まれています。

また、日本国内では2000年代以降、ユニクロや無印良品など、シンプルかつ機能的なデザインを重視するブランドの台頭により、一般層にも定着。年齢や性別を問わず、失敗しにくいカラーコーディネートの一つとして、幅広い層から支持を得ています。



現代のトーンオントーンスタイルとその特徴

現代のアパレル業界では、トーンオントーンは洗練された印象を与えるスタイルの代表格として、多くのブランドが取り入れています。ベージュ・グレー・ネイビー・アースカラーなどを用いた同系色コーディネートは、都会的で知的な印象を演出するうえで効果的です。

このスタイリングでは、色味の差異だけでなく、素材や光沢、編み方の違いなどによる変化を取り入れることで、単調にならず奥行きある着こなしに仕上がります。たとえば、ウール×シルクや、マット×グロッシーの組み合わせが挙げられます。

トーンオントーンはまた、全身コーディネートを1色で統一するワントーンスタイルとは異なり、細かな色調差を活用する点でより高度な技術が求められます。色彩学やスタイリングの理論を応用して組み立てることが多く、プロのスタイリストやデザイナーの間でも重要視されています。



まとめ

アパレル業界におけるトーンオントーンとは、同一色相内での明度・彩度差によって構成されるカラーコーディネート手法であり、上品で洗練された印象をもたらす表現技法です。時代とともに進化し続けながらも、シンプルで実用的なスタイルとしての魅力を持ち続けており、今後も多様なシーンで活用されるファッション技法の一つです。

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