アパレル業界におけるトルソーとは?

アパレル業界の分野におけるトルソー(とるそー、Torso、Buste)とは、衣服のディスプレイや製作、フィッティングに使用される人体の胴体部分を模した立体模型のことです。素材や形状は多種多様で、主にファッションデザインや販売、ディスプレイの場面で活用されます。マネキンとは異なり、頭部や手足を持たず、胴体部分だけに焦点を当てた実用性重視のアイテムです。



トルソーの語源と歴史的背景

トルソーという語は、イタリア語の“torso”(胴体)に由来し、英語でも同様に“torso”と表記されます。フランス語では“buste”と呼ばれ、美術やファッションの分野で胴体部分の模型を指す言葉として用いられています。

古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻に見られる胴体像が原型とされ、時を経て19世紀頃からファッション業界において衣服の設計やディスプレイに使われるようになりました。特にパリやロンドンの仕立て屋では、ドレーピング(布を体に当てて形を取る技法)のために欠かせない道具として広まりました。

産業革命以降の大量生産とともに、工業用トルソーも発達し、服飾の規格化や効率化に貢献しました。現在では、プロのパタンナーからショップのディスプレイ担当者まで、幅広い用途で使用されています。



トルソーの種類と使用目的

トルソーには多くの種類があり、大きく分けると「ドレーピング用」「ディスプレイ用」「撮影用」などに分類されます。ドレーピング用トルソーは、布地の落ち感や立体構造を確認するために、身体の寸法に近い形状と素材で作られています。ウレタンやキャンバス地、木製などが主流です。

一方、販売現場で使われるディスプレイ用トルソーは、見た目の美しさやスタイルの良さを重視した設計がされており、商品の魅力を最大限に引き出すためのアイテムとなっています。ブランドによっては独自のトルソー型を採用することもあります。

さらに、ネット販売やカタログ撮影などで用いられるトルソーは、照明の反射やシルエットを考慮した仕様となっており、半透明タイプや着せ替え可能な構造など多機能化が進んでいます。



現代ファッションにおけるトルソーの役割

現代のアパレル業界において、トルソーは制作・販売・演出の各段階で重要な役割を果たしています。デザイナーはトルソーを用いて実際に布をあてながら構想を形にし、パタンナーはサイズや構造の確認に使用し、販売現場では商品を立体的に見せる演出ツールとして機能します。

特にSNSやECサイトの普及により、写真や映像での商品訴求が重要となる現代では、ビジュアルの完成度を高めるための背景としてトルソーの品質やデザインが見直されています。トルソーの高さや体型、姿勢により、同じ服でもまったく異なる印象を与えることがあるため、ブランドイメージと整合性をとる重要な要素とも言えるでしょう。



まとめ

アパレル業界におけるトルソーとは、衣服の制作や販売、演出に不可欠な胴体型の模型であり、視覚的な説得力をもってファッションを支える存在です。語源は古代彫刻に由来し、今日ではデザインからディスプレイまで幅広く活用されています。トルソーの在り方ひとつで、ブランドの魅せ方や完成度が大きく左右されることから、今後もその存在は業界の基盤として重要視され続けるでしょう。

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