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アパレル業界におけるパイピングデザインとは?

アパレル業界の分野におけるパイピングデザイン(ぱいぴんぐでざいん、Piping Design、Design ? passepoil)とは、衣類の縁や切替部分に細く縫い付けられた装飾的なテープやコードを用いたデザイン手法です。実用性と装飾性を兼ね備え、輪郭を際立たせたり、色のアクセントを加えたりする効果があります。主にジャケットやシャツ、スポーツウェア、ワンピースなどに用いられ、洗練された印象やレトロ感、またはカジュアルなアクセントを与える要素として近年再評価されています。



パイピングデザインの語源と歴史的背景

パイピングという言葉は、英語の “pipe” に由来しており、細長く丸みを帯びた管状の形状に似た装飾を指します。衣類やインテリアにおいては、縁取りやラインを強調する目的で施される細い布製のパーツを意味します。元々はヨーロッパの軍服や制服などの伝統衣装において、階級や装飾性を示す意匠として取り入れられていた技術でした。

19世紀以降、パイピングは装飾としてだけでなく、縫い目の補強や耐久性の向上といった実用性をも兼ね備え、カジュアルウェアやドレスウェアにまで浸透していきました。特に1950?60年代のファッションでは、コントラストの効いた色使いによってデザインのアクセントとして注目され、多くのファッションアイテムに採用されました。



パイピングデザインの特性と用途

パイピングデザインは、衣服の縫い目や輪郭部分、袖口、襟ぐり、ポケット口などにテープやコードを挟み込むことで形成されます。このテクニックにより、アイテム全体に立体感やメリハリを生み出す効果があり、シンプルなデザインにも奥行きが加わります。

また、異素材や異なるカラーのパイピングを用いることで、デザイン性の高いスタイリングが可能になります。近年では、スポーツミックススタイルやトラッドファッション、韓国ファッションの文脈でも取り入れられ、ディテールへのこだわりとして重視されています。

素材にはサテンやパイピングコード、バイアステープなどが使用され、表面のツヤ感や質感で印象が大きく変わるため、デザインに合わせた素材選びが重要です。ラグジュアリー感を演出するハイブランドから、実用性を求めるカジュアルブランドまで、幅広いレンジで活用されています。



現代ファッションにおける展開と進化

パイピングデザインは、単なる装飾を超えて、ブランドの個性やアイデンティティを表現する要素としても利用されています。ミニマルなデザインにコントラストを加えたり、カラーブロッキングのような効果を加えることで、視覚的な印象を強めることができます。

さらに、ユニセックスやジェンダーレスなスタイルとの相性も良く、ジェンダーにとらわれないファッションアイテムにさりげない装飾性を加える要素としても注目されています。近年のサステナブルファッションにおいても、残布やバイアステープの有効活用という観点から、エコ素材でのパイピングも登場しています。

テーラリング技術やデザインの高度化により、カスタマイズ性の高いディテールとして、ますます多様なスタイルで活用されており、“見せる縫製技術”としての存在感も増しています。



まとめ

アパレル業界におけるパイピングデザインとは、縫製の際に施される装飾的な縁取り技術であり、実用性とファッション性を両立させた重要なディテールの一つです。クラシックからモダンまで幅広いスタイルに対応し、今後も素材や表現方法の進化と共に、ファッションの中で多様な役割を果たしていくことが期待されます。

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