アパレル業界におけるパターンオーダーとは?
アパレル業界の分野におけるパターンオーダー(ぱたーんおーだー、Pattern Order、Commande sur patron)とは、既存の基本デザイン(型紙)をベースに、顧客の体型や好みに合わせてサイズやディテールを調整して製作するオーダーメイド方式の一種です。フルオーダーに比べて手頃な価格でありながら、個々に合った着心地やスタイルが実現可能で、特にスーツやシャツ、ワンピースなどフォーマルウェアで広く採用されています。
パターンオーダーの語源と歴史的背景
パターンオーダーは、英語の “pattern”(型紙)と “order”(注文)を組み合わせた言葉で、既成のパターン(基本設計)をもとに個別調整するオーダー方式を指します。フルオーダー(bespoke)に比べて工程が簡略化されており、大量生産と個別対応の中間に位置する手法として発展してきました。
この概念は19世紀のヨーロッパに端を発し、特にイギリスやフランスのテーラー文化において、コストを抑えつつある程度のカスタマイズを実現する手段として確立されました。20世紀に入り既製服の普及が進むなかで、着心地と美しさを追求する人々の間で再評価され、ビジネスマンや成人式を控える若者などに需要が広がっていきました。
パターンオーダーの特徴と仕組み
パターンオーダーは、あらかじめ用意された基本の型紙(パターン)を顧客のサイズや好みに応じて調整し、1点ずつ仕立てるスタイルです。袖丈や着丈、肩幅、ウエストなどの寸法変更に加え、生地・ボタン・裏地なども選択できることが一般的です。
この方式の最大の魅力は、既製品にはないフィット感と個性の表現を両立できる点にあります。フルオーダーと比較して納期が短く、コストも抑えられるため、実用的かつ手の届きやすいカスタマイズとして人気を集めています。特にビジネススーツやドレスシャツ、礼服などのフォーマルアイテムで主流となっています。
最近では、女性向けのワンピースやパンツ、ジャケットなどでもこの手法が用いられ、ジェンダーや年齢を問わない需要が広がっています。また、IT技術の進化により、3Dボディスキャンやオンライン計測を用いたデジタルパターンオーダーも登場し、より気軽にオーダーできる環境が整いつつあります。
現代ファッションにおける位置づけと展望
現代のアパレル市場では、消費者の価値観の多様化とともに、「自分らしさ」や「特別感」を重視する傾向が強まっています。その流れの中で、パターンオーダーは、高品質・短納期・適正価格を実現する手段として注目され、ライフスタイルブランドや大手量販店、セレクトショップなど幅広い業態に導入されています。
また、パターンオーダーはサステナブルファッションの観点からも支持を得ています。大量在庫を持たず受注生産することで、廃棄ロスを削減できる点が、環境配慮型のものづくりとして評価されているのです。
今後は、AIによる最適パターン提案や、バーチャル試着との連携など、テクノロジーと融合した新しいパターンオーダーのかたちが登場することで、より身近で魅力的なサービスへと進化していくと考えられています。
まとめ
アパレル業界におけるパターンオーダーとは、既存の型紙をもとに個別の体型や好みに応じて調整・製作するオーダースタイルであり、フルオーダーと既製服の中間に位置する存在です。コストパフォーマンスの高さや高い満足度から、多くの消費者に支持されており、テクノロジーと融合することでさらに普及が期待されています。