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アパレル業界におけるピグメント加工とは?

アパレル業界の分野におけるピグメント加工(ぴぐめんとかこう、Pigment Dyeing、Teinture au pigment)とは、繊維表面に顔料を付着させる染色技法の一種で、独特の色ムラやヴィンテージ感を表現するために用いられます。染料と異なり繊維に浸透しない顔料を使用し、バインダー(接着剤)によって固定することで、洗い込むほどに風合いが増すのが特徴です。Tシャツやスウェット、ワークウェアなどカジュアルな衣類に広く使われています。



ピグメント加工の語源と歴史的背景

ピグメント加工の「ピグメント」とは、英語で「顔料」を意味し、色素を繊維の表面にコーティングすることで着色する技法です。古くから絵画やプリント技術に用いられていた顔料を、衣類に応用したのが始まりとされます。

この加工技術がファッションの分野で注目されるようになったのは、1970年代から80年代にかけてのアメリカのストリートカルチャーやヴィンテージブームの中で、独特の褪せた風合いや経年変化を楽しむ感覚が広まったことによります。特にTシャツやスウェットに施されたピグメント加工は、着古したようなラフな質感が支持され、現在でもカジュアルウェアの定番手法として定着しています。



ピグメント加工の技術的特徴

ピグメント加工では染料ではなく顔料(不溶性の色素)を使用し、布地の表面に色をのせます。顔料は繊維に浸透しないため、定着にはバインダーと呼ばれる接着剤が用いられます。このバインダーの種類や配合により、色の濃淡や剥離感、さらには柔らかさなどの風合いが調整されます。

そのため、洗い加工や摩擦によって徐々に色が落ちるような経年変化が楽しめることが魅力で、味わい深い表情を持つ衣服が仕上がります。また、通常の染色では難しい多色表現やムラ感も得られるため、デザインの幅が広がる点も特長です。

ただし、顔料が表面に定着しているだけなので、色落ちやひび割れが起きやすいという側面もあり、メンテナンスや取扱いにはやや注意が必要です。



現在の使われ方とデザイン的活用

今日では、ピグメント加工は特にアメリカンカジュアルやヴィンテージテイストのブランド、ミリタリーやワークウェア系のアイテムによく見られます。Tシャツ、スウェット、パーカ、シャツなどのトップスはもちろん、キャップやトートバッグなどの雑貨にも活用されています。

また、ピグメント加工はアパレルだけにとどまらず、ホームウェアやリネン類、カーテンといったテキスタイル製品にも用いられています。近年では、人工的にエイジング感を演出するための一環として、複数の洗い加工と組み合わせて使われるケースも増えています。

ファッションにおける「ニュアンスカラー」や「くすみ感」などのトレンドとも親和性が高く、落ち着いたカラーリングと独特の風合いを演出できるため、ユニセックスなアイテムにも広く取り入れられています。



まとめ

アパレル業界におけるピグメント加工とは、顔料を繊維の表面に定着させることで色を表現する加工技術であり、経年変化やヴィンテージ感を活かした風合いが特長です。1970年代以降、カジュアルウェアやストリートファッションを中心に人気を博し、現代ではファッション性と独自性を兼ね備えた加工法として広く用いられています。

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