アパレル業界におけるピエロ襟とは?

アパレル業界の分野におけるピエロ襟(ぴえろえり、Pierrot collar、col Pierrot)とは、フリルやギャザーがたっぷりと施され、装飾性に富んだ大ぶりな襟のデザインを指します。19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパ演劇に登場する道化師「ピエロ」の衣装に由来し、ロマンチックかつクラシカルな印象を与えるアクセントとして、現代ではブラウスやドレスなどで再解釈され、甘さやレトロ感を演出する重要な要素として人気を集めています。



ピエロ襟の語源と背景

ピエロ襟は、その名の通りフランスの古典的な道化役者「ピエロ(Pierrot)」が着用していた衣装に見られる、大きく波打つようなフリル襟をイメージしたファッションディテールです。19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスのコメディア・デラルテ(即興喜劇)に由来する舞台衣装として知られるピエロは、白い顔と涙を流す表情、大きな襟が特徴でした。

この襟のデザインは、ロマンティックで幻想的な印象をもたらす要素としてアパレル分野に取り入れられ、特にヨーロッパの子供服やヴィクトリアンスタイル、ロリータファッションなどに影響を与えました。英語では“Pierrot collar”、フランス語では“col Pierrot”と呼ばれ、ファッション用語としても広く認知されています。



ピエロ襟のデザイン的特徴

ピエロ襟の最大の特徴は、そのボリューム感と装飾性にあります。多くの場合、薄手の綿やオーガンジー、レース素材が使われ、襟元に細かなギャザーやフリルを施すことで、立体感のある華やかさを演出します。形状は円形や半円形のものが多く、首元から肩や胸元にかけて大きく広がるデザインが基本です。

現代のピエロ襟は、伝統的なスタイルを踏襲しながらも、シンプルなラインやミニマルな素材感で再構築されたアイテムも登場しており、甘すぎず洗練されたモダンスタイルとして提案されることもあります。カラーやプリント、素材によって印象が大きく変わるため、さまざまなスタイリングに対応できる柔軟なディテールです。



ファッション史におけるピエロ襟の位置づけ

ピエロ襟は、歴史的にはヴィクトリア朝時代の子供服やフォーマルドレスのディテールとして人気を博しました。その後、1960?70年代にはロマンティックな要素として再評価され、特にイギリスのモッズ文化やヨーロピアンヴィンテージスタイルで用いられました。

また、1980年代にはガーリーファッションやドール風デザインの一部として再流行し、日本のロリータ系ブランドやガーリー系アパレルでも盛んに使用されました。2020年代に入ってからは、レトロ&ノスタルジックなトレンドの影響で再び注目を集め、クラシカルな可愛らしさを演出するアイテムとして現代のファッションにも溶け込んでいます。



現在の使われ方と展開

現代のアパレルでは、ピエロ襟はブラウスやワンピースを中心に多く見られます。特にフェミニンスタイルを好む層に向けたブランドで多く展開されており、重ね着スタイルや襟の差し色としてアクセントに使われるケースも増えています。

また、取り外し可能な“付け襟”としてピエロ襟が単体で販売されることもあり、シンプルなトップスに装着するだけで、一気に華やかでクラシックな印象を加えるアイテムとして人気です。韓国ファッションや北欧ブランドなどでも取り入れられ、グローバルに認知度が高まりつつあります。



まとめ

アパレル業界におけるピエロ襟とは、フランスの道化師“ピエロ”の衣装に由来する大ぶりなフリル襟であり、ロマンティックでクラシカルな雰囲気をファッションに与える装飾的ディテールです。時代とともに姿を変えながらも、甘さと上品さを兼ね備えたスタイルとして多くのデザインに取り入れられています。

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