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アパレル業界におけるボタニカル柄とは?

アパレル業界の分野におけるボタニカル柄(ぼたにかるがら、Botanical Pattern、Motif botanique)は、植物をモチーフとした図柄や装飾を意味します。花や葉、枝、果実など自然界の植物要素を写実的あるいは装飾的に表現したパターンで、季節感やリラックス感、ナチュラルな印象を与えるデザインとして人気があります。春夏コレクションを中心に展開されることが多く、ワンピースやブラウス、スカート、メンズのシャツや水着など、性別を問わず幅広いアイテムに用いられています。

ボタニカル柄の定義と特徴

ボタニカル柄とは、植物に由来するモチーフ、たとえば葉、花、茎、実などを意匠化・装飾化したデザインのことを指します。実際の植物の姿を忠実に描いた写実的なスタイルから、抽象化したグラフィックな表現、さらには水彩風や線画風の繊細なアレンジまで、さまざまな描き方が存在します。

自然をテーマにした柄であることから、穏やかでやさしい印象やリラックス感を演出するのが特徴であり、ナチュラル系やリゾートスタイルといったファッションに特によく用いられます。色使いもグリーンやベージュ、ブラウンなどのアースカラーに加え、鮮やかな花色など多彩です。

言葉の由来と歴史的背景

「ボタニカル(Botanical)」は、英語で「植物の」「植物学の」という意味を持ち、ラテン語の「botanicus(植物に関する)」に由来しています。18世紀から19世紀にかけて、植物標本や植物図鑑が広く作成されるようになった時代、これらの精緻な植物画が芸術やファッションに応用されるようになりました。

とくに19世紀後半のヨーロッパでは、アール・ヌーヴォーの流れを受けて植物をモチーフとした装飾芸術が流行し、衣服や室内装飾にも取り入れられました。その後、20世紀のファッションにも断続的に登場し、特に1970年代のフラワーチルドレン運動では、自然回帰と自由な精神の象徴としてボタニカル柄が多用されました。

現代のアパレルにおける使われ方とバリエーション

現代のアパレル業界では、ボタニカル柄は季節感やトレンドを表現するアイテムとして幅広く活用されています。特に春夏のシーズンには、明るく軽やかな素材とともに展開されることが多く、ワンピースやブラウス、ロングスカート、メンズのリゾートシャツなどに頻繁に用いられます。

柄のバリエーションも豊富で、熱帯植物をモチーフにしたトロピカル系、繊細な草花を描いたフローラル系、または大きなリーフパターンでモダンな印象を与えるものまであります。最近ではモノトーンやシックな配色のものも人気を集めており、オフィスカジュアルやモードスタイルにも取り入れられています。

また、環境意識の高まりとともに、サステナブルファッションとの親和性も高く、オーガニックコットンや再生素材と組み合わせてナチュラルなブランドイメージを訴求するためのデザインとしても採用されるケースが増えています。

まとめ

ボタニカル柄は、植物の美しさと自然の生命力をモチーフにしたデザインであり、視覚的なやさしさと心地よさを持つファッションパターンとして、長い歴史の中で愛され続けてきました。季節感やライフスタイルの多様性を表現する上で、現代のアパレルにおいても欠かせない存在であり、今後も多くのバリエーションで展開されることでしょう。

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