アパレル業界におけるボンディング素材とは?
アパレル業界の分野におけるボンディング素材(ぼんでぃんぐそざい、Bonding Fabric、Tissu contrecoll?)は、2層以上の異なる生地を接着剤や熱処理によって貼り合わせた複合素材を指します。立体感やハリ感を出しやすく、シワになりにくい特性を持つため、アウターやスカート、構築的なシルエットを必要とするアイテムに多く使用されます。近年では機能性とファッション性を兼ね備えた素材として、様々なブランドで活用されています。
ボンディング素材の定義と特徴
ボンディング素材とは、異なる性質を持つ2種類以上の生地を接着加工することで1枚の素材として使用できるようにした複合布のことを意味します。この接着には熱や圧力、接着剤、フィルムなどを用いて、生地同士を強固に結合させるのが特徴です。
一般的には、表地に布帛やニットを使い、裏地にフリースやウレタンなどを貼り合わせることで、ハリ感や保温性、シルエットの保持力を実現します。布の間に空気層ができることで、冷気を遮断しやすく、冬用アウターの素材としても高く評価されています。
言葉の由来と技術の発展
「ボンディング(bonding)」は英語で「接着」「結合」を意味し、素材加工の世界では異素材を一体化する技術を指します。アパレル分野では20世紀中頃から産業用途やスポーツウェア分野で用いられ、徐々にカジュアルウェアやハイファッションにも浸透していきました。
初期のボンディング技術は、接着剤を用いた手作業中心のものでしたが、現在では高周波ボンディング、超音波接着、熱融着フィルムなどの先進技術が発展し、より薄く軽量で通気性に優れた素材が開発されています。これにより、ボンディング素材は見た目の美しさと快適さを兼ね備えるようになりました。
現代の使われ方と多様なバリエーション
現代のアパレル業界では、ボンディング素材は主に秋冬のアウターウェア、スカート、ジャケットなどに多用されています。生地にコシがあるため、立体的でモード感のあるシルエットを簡単に作れる点が評価されており、特にデザイナーズブランドやハイストリートブランドのコレクションでよく見られます。
また、スポーツウェアやアウトドアウェアにおいても、耐水性や防風性、軽量性を実現するためにボンディング素材が取り入れられています。さらに、裏起毛や中綿と組み合わせたバージョンも存在し、用途に応じた多様な機能性を提供しています。
ファッション性と実用性を両立させるため、近年ではボンディング加工にプリントや型押しを施したり、複数の色や質感を組み合わせるデザインも増えており、表現の幅が広がっています。
まとめ
ボンディング素材は、異素材を結合させることで、機能性とデザイン性を同時に追求できる現代的なファブリックです。その高い汎用性と美しい仕上がりから、アパレルだけでなくスポーツやアウトドア、さらにはインテリアファブリック分野にも応用が広がっています。ファッションにおける素材選びの自由度を高める存在として、今後もその重要性は増していくでしょう。