アパレル業界におけるマルチボーダーとは?
アパレル業界の分野におけるマルチボーダー(まるちぼーだー、Multi Border、Rayures multicolores)とは、複数の色を組み合わせて構成された横縞(ボーダー)柄のことを指します。異なる色やピッチ(縞幅)を組み合わせることで視覚的なリズムと遊び心を演出し、カジュアルからモードまで幅広いスタイルに取り入れられています。配色次第で印象が大きく変化するため、シーズンテーマやブランドの個性を反映させるための重要なデザイン手法として、アパレル業界で高く評価されています。
マルチボーダーの定義と特徴
マルチボーダーとは、2色以上の配色で構成された横方向のストライプ柄のことを指します。通常の単色または2色構成のボーダー柄に対し、複数の色が組み合わさることで、より複雑で個性的なデザインが特徴です。
この柄は、視覚的に動きが出るだけでなく、配色の工夫により明るくポップな印象や落ち着いたシックな印象など、幅広い表現が可能です。また、ストライプの太さ(ピッチ)や並び順を変えることで、幾何学的・グラフィカルな要素を強調したデザインにも展開できます。
言葉の由来と歴史的背景
「マルチボーダー」という名称は、「multi(多くの)」と「border(縞模様)」を組み合わせた和製英語に近いファッション用語です。英語圏では「multi-stripe」や「multi-colored stripes」と表現されることが多いですが、日本ではファッション雑誌やカタログで「マルチボーダー」の名称が一般的に定着しています。
ボーダー柄自体の起源は中世ヨーロッパに遡りますが、近代ファッションでは20世紀初頭のマリンスタイルやフレンチカジュアルなどで定番柄として広まりました。そこに多色の要素を加えたマルチボーダーは、1960?70年代のポップアートやヒッピームーブメントの影響を受け、色彩豊かなアイテムとして登場しました。
日本国内では1980年代から1990年代にかけて、サーフ・ストリート系のファッションと共に人気を博し、現在では年齢・性別を問わず多様なスタイルに適応する汎用性の高い柄として定着しています。
現代の使われ方とバリエーション
今日のアパレル業界において、マルチボーダーはTシャツ、ニット、ワンピース、ソックスなど様々なアイテムに使用されています。特に春夏シーズンには明るい色合いのコットン素材、秋冬シーズンには温かみのあるウールやアクリル素材で展開され、季節感を演出する重要な要素となります。
また、カラーの組み合わせやストライプの間隔によって、レトロ、スポーティー、モード、ナチュラルといったスタイルイメージを自在に変えることができる点も魅力です。最近ではサステナブルな再生糸を使ったマルチボーダーアイテムも登場し、環境への配慮をデザインに取り込む動きも見られます。
さらに、ユニセックスやジェンダーレスなデザインにも適しており、ジェンダーフリーなコーディネートを求める消費者からの支持も高まっています。
まとめ
マルチボーダーは、多彩な色使いと表現力の広さにより、季節やトレンドを超えてアパレル業界で広く用いられる柄の一つです。配色やストライプの構成によってさまざまな印象を演出できるため、ブランドの個性やデザインコンセプトを視覚的に伝えるツールとしても重宝されています。今後も、その多様性と親しみやすさから、多くのファッションシーンで活躍し続けるでしょう。