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アパレル業界におけるムートンコートとは?

アパレル業界の分野におけるムートンコート(むーとんこーと、Mouton Coat、Manteau en mouton)とは、羊の毛皮を鞣(なめ)して作られた防寒性の高いアウターウェアを指します。「ムートン(Mouton)」はフランス語で「羊」を意味し、一般にはラムスキンやシープスキンの表革と裏起毛を一体にした素材が用いられます。天然の断熱性と保温性に優れ、ラグジュアリーかつ実用的な冬の定番アイテムとして、ファッションシーンでも高い評価を受けています。

ムートンコートの定義と特徴

ムートンコートとは、羊の皮革を使用したコートの一種で、裏地にウールの起毛面、表地にスエードやレザーの質感を持つのが大きな特徴です。皮と毛を一体のまま加工しているため、人工的なライニングと異なり、優れた保温性と通気性を兼ね備えています。

デザイン面では、重量感がありながらも高級感のある風合いや、ボアが見える襟元や袖口などのディテールが魅力です。フロントはダブルブレストやジップタイプが多く、寒冷地でも快適に着用できることから、防寒アイテムとして長年愛され続けています。

言葉の由来と歴史的背景

「ムートン(mouton)」という言葉はフランス語で「羊」を意味し、本来は羊の肉や毛皮を指す一般的な語彙でした。アパレル用語としては、19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパで発展し、軍用衣類や航空服など極寒地向けの装備として使用されたことが、ムートンコートの始まりです。

特に第二次世界大戦中には、アメリカ軍のフライトジャケット(B-3型)などに多用され、耐寒性の高さから注目を浴びました。戦後になると、ファッションアイテムとしてデザイン性が重視されるようになり、1970年代のボヘミアンスタイルやハリウッドセレブの着用により、ムートンはラグジュアリーの象徴として認識されるようになりました。

現代の使われ方とバリエーション

現在のムートンコートは、天然素材のリアルムートンだけでなく、フェイクムートン(人工ムートン)も数多く登場しており、価格帯やスタイルの幅が広がっています。フェイク素材は軽量で取り扱いやすく、ヴィーガンファッションやサステナビリティの観点からも支持を集めています。

デザイン面では、従来のロング丈に加えて、ショート丈、ミディ丈、ライダース風などさまざまなバリエーションが展開され、カジュアルからエレガントまで対応可能です。また、カラーリングもベージュやキャメル、ブラックといった定番に加え、淡いパステルカラーなどモダンなアレンジが加えられています。

ユニセックスなスタイルとして男女問わず人気があり、冬のアウターとしてだけでなく、ファッションの主役アイテムとしてコーディネートに取り入れられています。

まとめ

ムートンコートは、その高い保温性とラグジュアリーな素材感で、機能性と美しさを兼ね備えた冬の定番アイテムとして、長年にわたり愛されています。天然素材のリアルムートンからエコ志向のフェイクムートンまで、幅広い選択肢が存在し、現代の多様なライフスタイルに合わせて進化を続けています。

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