アパレル業界におけるモッズコートとは?
アパレル業界の分野におけるモッズコート(もっずこーと、Mods Coat、Parka mod)とは、1960年代にイギリスの若者文化「モッズ(Mods)」の間で流行したミリタリースタイルのコートを起源とするアウターです。特にアメリカ軍のM-51フィールドパーカーが原型とされ、防寒性や機能性に優れたゆったりとしたシルエットが特徴です。現代ではカジュアルからモードまで幅広いスタイリングに活用され、メンズ・レディース問わず秋冬の定番アイテムとして定着しています。
モッズコートの定義と特徴
モッズコートは、主にコットンやナイロン素材を使用したフード付きのミリタリー調コートで、裾がフィッシュテール(燕尾状)になっている点が特徴です。腰回りや裾にドローコードが施されており、風の侵入を防ぎつつシルエットを調整することができます。
もともとは軍用コートとして機能性を追求したデザインで、防寒性の高いライナー付き仕様が一般的です。デザインは無骨ながら、ゆったりとしたシルエットと無駄のないディテールにより、都会的で洗練された印象を与えるアウターとして人気があります。
言葉の由来と歴史的背景
モッズとは「モダニスト(Modernist)」の略で、1960年代のロンドンを中心に登場した若者文化の呼称です。音楽、スクーター、ファッションを通じて自己表現を追求したモッズたちは、当時の最新トレンドに敏感で、軍の放出品であったM-51フィールドパーカーをバイク用の防寒着として着用しました。
このM-51が、のちにファッション業界でモッズコートと呼ばれるようになり、サブカルチャーの象徴的なアイテムとして浸透しました。特に映画『さらば青春の光(Quadrophenia)』での印象的な着用が影響を与え、モッズスタイルの象徴としてファッション界に定着します。
現代における使われ方とバリエーション
現代のモッズコートは、オリジナルのミリタリーデザインを踏襲しつつ、モダンな素材やカッティング、カラーバリエーションが加えられ、より幅広い層に向けて進化しています。特にレディースアイテムでは、フェミニンなシルエットやウエストマークのデザインも登場し、従来の無骨さとは異なる印象を与えるモデルも増えています。
また、取り外し可能なライナーやフード付き、撥水加工などの実用性も重視されており、トレンド性と機能性を兼ね備えたアウターとして、秋冬のワードローブに欠かせない存在となっています。
まとめ
モッズコートは、サブカルチャーから生まれたミリタリーアウターでありながら、時代と共に進化を続けてきたスタイルです。機能性とファッション性を両立したデザインは、男性・女性問わず多くの人々に支持され、今やアパレル業界における定番の一着となっています。