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アパレル業界におけるヤクニットとは?

アパレル業界の分野におけるヤクニット(やくにっと、Yak Knit、Tricot en yack)とは、ヒマラヤなどの高地に生息するヤクという動物の毛を原料としたニット製品を指します。保温性・通気性・柔らかさ・軽さのバランスが非常に優れた天然繊維で、カシミヤに匹敵する高級素材として知られています。主に秋冬のセーターやカーディガン、マフラーなどに使用され、近年ではサステナブル素材としても注目を集めています。

ヤクニットの定義と特徴

ヤクニットとは、ヤクの毛を紡いで糸にし、ニット製品に加工したものを指します。ヤクの毛は内側にあるうぶ毛(アンダーコート)を使用し、その繊維は細く、しなやかで、独特のぬくもりがあります。ヤクニットはカシミヤに似た柔らかさを持ちながらも、毛玉になりにくく耐久性にも優れているため、日常使いしやすい高級ニットとして人気です。

また、自然なグレーやブラウンの色合いが特徴的で、染色せずとも落ち着いた風合いを楽しめるのも魅力です。肌への刺激も少なく、敏感肌の人にもやさしい素材とされています。ニットとしての加工性も良く、セーター、カーディガン、スヌード、帽子など様々なアイテムに展開されています。

言葉の由来と歴史的背景

ヤクとは、主にチベットやモンゴル、中国西部など、標高3000m以上の高地に生息するウシ科の動物です。極寒の地に適応したこの動物は、体温を保つために密度の高い毛を持っており、このうぶ毛を梳き取って繊維にする伝統は数百年の歴史を持ちます。

近代になってからは、その保温性と手触りの良さが評価され、欧米を中心に高級天然素材として市場価値が高まりました。日本でも2010年代以降、自然素材やサステナブル志向の高まりとともに、ヤクを使ったニット製品の認知度が高まっています。特に、オーガニックなライフスタイルを重視するブランドやセレクトショップでは、サステナブルラグジュアリーの一例として注目されています。

現代の使われ方とバリエーション

現在のヤクニットは、高品質・高価格帯のアイテムとして、ラグジュアリーブランドからナチュラル系カジュアルブランドまで幅広く展開されています。特に秋冬の定番アイテムとして人気が高く、チクチクしない着心地や軽さ、あたたかさがユーザーに支持されています。

また、動物福祉や環境配慮の観点から、梳毛(そもう)による採取方法が行われ、ヤク自体を傷つけずに毛を得ることが可能です。この点でもエシカルファッション素材としての評価が高まっており、消費者の間でも「着る選択肢」としての意識が高まっているのが特徴です。最近では、ヤクとカシミヤやウールをブレンドしたハイブリッド素材のニットも登場しており、風合いや機能性のバリエーションも広がりを見せています。

まとめ

ヤクニットは、高地に生息するヤクのうぶ毛を使用した、高機能・高感度なニット素材です。歴史ある天然素材としての価値に加え、サステナビリティやエシカルな視点からも注目されており、現代のニットファッションにおいて重要なポジションを占めています。寒冷地でもしっかりと身体を守るその機能性と上品な風合いは、これからも多くの人に愛され続けることでしょう。

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