アパレル業界におけるラウンドヘムとは?
アパレル業界の分野におけるラウンドヘム(らうんどへむ、Round Hem、Ourlet arrondi)とは、衣服の裾部分(ヘム)がゆるやかな曲線状にカットされたデザインのことを指します。直線的な裾に比べて、柔らかく自然な印象を与えるのが特徴で、シャツやチュニック、カットソー、ワンピースなど様々なアイテムに取り入れられています。動きやすさや着こなしの幅を広げるだけでなく、レイヤードスタイルや体型カバーにも適しており、実用性とデザイン性を兼ね備えた要素として注目されています。
ラウンドヘムの定義と特徴
ラウンドヘムとは、衣服の裾が緩やかに湾曲したラインを描くように仕立てられたデザインを指します。一般的には、前後の裾が丸みを帯びており、サイド部分がやや上がったカーブを形成しているのが特徴です。シャツやカットソーなどに多用されるこのデザインは、自然なドレープ感や軽やかなシルエットを生み出し、着用者にやわらかい印象やこなれ感を与える効果があります。
また、ラウンドヘムは裾の動きやすさを確保できる構造でもあるため、カジュアルからフォーマルまで幅広いスタイルに対応可能です。シンプルなアイテムにラウンドヘムを取り入れることで、さりげなくデザイン性を加えるディテールとしても評価されています。
言葉の由来と歴史的背景
ラウンドヘムの「ヘム(Hem)」とは、英語で「裾」「縁」を意味し、「ラウンド(Round)」は「丸い」「円形の」を表します。この言葉の組み合わせにより、「丸みを帯びた裾」というデザイン形状を示しています。
歴史的に見ると、ラウンドヘムは19世紀末のメンズシャツにおいてタックイン(シャツをパンツに入れる)をしやすくするために採用されたのが始まりとされています。当初は機能性を重視したデザインでしたが、20世紀に入り、カジュアル化が進む中でタックアウト(シャツを出して着る)スタイルに対応するよう変化し、ラウンドヘムのシルエットがデザイン要素としても注目されるようになりました。
特に2010年代以降のアパレル業界では、オーバーサイズやレイヤードスタイルの流行により、裾のラインが見えるコーディネートが増えたため、ラウンドヘムの存在感が強調されるようになりました。
現代の使われ方とバリエーション
現代では、ラウンドヘムは男女問わずさまざまなファッションアイテムに取り入れられています。代表的なものとして、ロングシャツ、プルオーバー、スウェット、ワンピース、カーディガンなどがあります。特に、ヒップラインを自然にカバーできる形状のため、体型を気にするユーザーにも好評です。
また、ラウンドヘムはレイヤードスタイルに最適で、裾の丸みをインナーとして見せることで、コーディネートに奥行きと動きを加える効果があります。加えて、コントラストのある色や異素材との組み合わせで、シャープさと柔らかさのバランスを演出できる点も魅力です。
スポーツウェアやアクティブウェアでも、動きやすさとスタイリッシュさを両立するディテールとして採用されることが多く、日常着からアウトドアシーンまで幅広い用途に対応しています。
まとめ
ラウンドヘムは、視覚的なやわらかさと実用性を併せ持つ裾デザインとして、現代のアパレルにおいて多用されるディテールの一つです。もともとは機能性から発展した形状ですが、現在ではファッション性・体型補整・着こなしの自由度など、多くのメリットが注目されています。今後も多様化するスタイルやニーズに応える要素として、ラウンドヘムはあらゆるアイテムにおいて定番的に活躍していくことでしょう。