アパレル業界におけるレトロモダンとは?
アパレル業界の分野におけるレトロモダン(れとろもだん、Retro Modern、R?tro Moderne)とは、過去の時代を想起させる「レトロ(懐古的)」なデザインと、現代的で洗練された「モダン」な要素を融合させたスタイルを指します。このスタイルは、1960年代?1980年代のファッションや配色、シルエットを参考にしながらも、現代的な解釈を加えることで、懐かしさと新しさを併せ持つ独自の美学を表現しています。
レトロモダンの定義と特徴
レトロモダンは、ファッションやインテリア、グラフィックデザインなど幅広い分野で使用される表現ですが、アパレル業界では特に衣服のスタイリングやディテール、色使いにおいて顕著に見られます。典型的な例として、Aラインワンピースやフレアスカート、幾何学模様、ポルカドット柄などが挙げられ、それに現代的な素材やカッティング、ミニマルな要素を加えて再構築されることで、古さを感じさせない印象に仕上げられています。
また、レトロモダンでは「古くて新しい」という感覚が重要視され、あえてクラシックな要素を用いることでスタイリングに温かみや深みを加えると同時に、今の時代にもフィットする洗練性を追求します。
歴史と語源の背景
「レトロ(Retro)」は、ラテン語の“retro”(後ろへ)を語源としており、20世紀中盤から過去の流行やスタイルを見直す動きとともに一般化しました。一方「モダン(Modern)」は「現代的・近代的」という意味を持ち、20世紀初頭のモダニズム運動に由来します。
この二つの相反する概念を融合した「レトロモダン」という言葉は、2000年代以降、ヴィンテージブームの再燃や、過去の名作の再解釈などの流れとともにファッション界に定着しました。特に日本では、昭和の雰囲気を持つディテールに現代的なアレンジを施したスタイルが若年層を中心に支持されています。
現在の使われ方とスタイリング
現代のアパレルにおけるレトロモダンは、トレンドの一部として継続的に注目を集めています。例として、1970年代のサイケデリックなプリントにシャープなテーラードジャケットを合わせたり、1980年代の肩パッド入りのトップスにスキニーパンツを組み合わせたりと、異なる時代感をコーディネートで調和させることが一般的です。
また、カラーリングにおいても、マスタード、テラコッタ、オリーブグリーンといったノスタルジックな色を取り入れつつ、光沢感のある素材や現代的なカットラインでバランスを取り、過度な懐古趣味にならないよう工夫されています。
ブランド展開と文化的影響
レトロモダンは多くのブランドが採用するスタイルでもあり、特にヴィンテージテイストを得意とするブランドでは定番化しています。ユニクロやZARAといったファストファッションから、BEAMSやURBAN RESEARCHなどのセレクトショップブランドにおいても、季節ごとにレトロモダンテイストのコレクションが発表されることが一般的です。
また、映画や音楽などのカルチャーとも親和性が高く、例えば1950年代の映画の衣装や、1970年代のディスコミュージックのビジュアルなどがインスピレーション源となることも多く見られます。
まとめ
レトロモダンとは、過去へのオマージュと現代的な美意識を融合させたファッションスタイルです。時代を超えた感性を活かしながらも、今の時代に合った新しさを提供するこのスタイルは、アパレル業界において今後も魅力的なテーマであり続けるでしょう。