アパレル業界におけるヤマト糊とは?

アパレル業界の分野におけるヤマト糊(やまとのり、Yamato Glue、Colle Yamato)とは、でんぷんを主成分とした水性接着剤で、特に型紙作成や仮止め工程など、布地や紙を扱う現場で使用される伝統的な糊の一種です。古くから文具用として知られていますが、アパレル業界でもその接着力と使いやすさから、多用途に用いられています。乾くと透明になり、水で簡単に洗い流せる特性から、仮接着に適しており、特に手作業による仕立てやデザイン作業で重宝される存在です。

ヤマト糊の定義と特徴

ヤマト糊は、日本の接着剤メーカーであるヤマト株式会社が製造・販売する、水性でんぷん糊の製品名です。透明感のあるややとろみのある液状で、水に溶けやすく、乾燥後も洗い落としが容易なことから、紙や布への仮止め作業に適しています。

アパレル業界では、紙型の作成時やパターンメーキング工程、布地への一時的な仮固定作業などに用いられます。特に生地の裁断時や縫製前の仮止め作業で、ピンやステッチを入れる前の補助的な用途として活用されます。においが少なく、安全性が高いため、作業現場や教育機関でも幅広く使用されています。

言葉の由来と歴史的背景

ヤマト糊の名称は、製造元である「ヤマト株式会社」に由来しています。この会社は1899年に創業され、日本で初めて容器入りのでんぷん糊を製品化した企業として知られています。ヤマト糊は、昭和初期から小学校の図工授業や事務用途などで親しまれてきたスタンダードな接着剤です。

その後、用途が多様化する中で、服飾関係者の間でも使いやすさと安全性が評価され、服地や型紙作業への応用が進みました。現在でもヤマト糊は、日本国内のアパレル工房やデザインスクールなどでよく見られる存在であり、文具としての知名度とともに、実用的なツールとして定着しています。

現代における使われ方と業界内の位置づけ

アパレル業界において、ヤマト糊は特に試作や手仕事の現場で多く使われています。裁断した布地の端処理前に仮固定したり、紙型をトワル(仮布)へ貼り付けたりといった用途が代表的で、糊が乾く前に位置調整がしやすいという利点から、微調整が必要な作業工程に適しています。

また、作業後に水で簡単に除去できるため、生地を傷めずに後工程へ進めるというメリットもあります。市販のピンやスプレー糊と異なり、成分が自然由来である点も評価されており、エコ志向やサステナビリティが重視される現場でも安心して使用可能です。

さらに、ヤマト糊は容器の形状も使いやすく設計されており、ボトル先端から直接少量を出して使用することが可能で、手や作業台を汚しにくいという点も作業効率の向上につながっています。

まとめ

ヤマト糊は、でんぷんを主原料とした日本発の水性接着剤であり、その安全性と使いやすさからアパレル業界においても重要な役割を果たしています。仮止めや紙型の貼付け、細部の調整作業などに活用され、作業効率と仕上がりの精度向上に寄与しています。伝統ある製品でありながら、現代のものづくりにもフィットするツールとして、今後も多くの現場で重宝される存在であり続けるでしょう。

▶アパレル業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス