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アパレル業界におけるヤクダウンとは?

アパレル業界の分野におけるヤクダウン(やくだうん、Yak Down、Duvet de Yack)とは、チベットやモンゴルなどの高地に生息するウシ科動物「ヤク」のアンダーコート(内側の産毛)を原料としたダウン(羽毛)素材のことを指します。ヤクの毛は極めて細くて柔らかく、高い保温性と通気性を併せ持つ天然素材であり、特に寒冷地向けの高機能な防寒衣料に用いられています。サステナビリティやエシカルファッションへの関心が高まる中で、環境負荷の少ない動物由来の素材として注目されています。

ヤクダウンの定義と特徴

ヤクダウンとは、ヤクの体毛のうち特にアンダーコートと呼ばれる内毛部分を採取・精製して得られる高機能な天然繊維素材です。この部分は1本あたりの直径が非常に細く、柔軟性、軽さ、断熱性に優れ、空気を多く含むことから保温性能が高くなります。

一般的なグースダウンやダックダウンに比べて水に強く、湿度や汗による熱損失が少ないことも特徴の一つです。また、チクチクしにくく肌あたりが優しいため、インナーに近いレイヤーや肌着への使用も可能です。アレルゲンの発生も少なく、敏感肌の人にも適した素材として評価されています。

言葉の由来と歴史的背景

ヤクは、中央アジアの高地に広く分布するウシ科の家畜で、古くから遊牧民の生活に不可欠な存在でした。食肉、乳製品、運搬、衣料とあらゆる用途に利用される中で、特にアンダーコートは寒冷地の防寒具として伝統的に使用されてきました。

「ダウン」という用語は、英語の“Down”に由来し、本来は鳥類の柔らかな羽毛を指す言葉です。アパレル業界では保温性の高い詰め物素材の代名詞として定着しており、現在ではヤクやアルパカ、カシミヤなどの毛繊維でも“ダウン”の名で呼ばれることがあります。ヤクダウンという呼称は比較的新しく、近年の素材多様化の流れの中で生まれた表現です。

現代における使われ方と市場での位置付け

ヤクダウンは、現在では主に高価格帯のアウトドアウェアやサステナブルファッションブランドで使用されています。特に、冬用のダウンジャケット、ベスト、パーカなどに中綿として採用されることが多く、環境配慮型の高性能素材として注目を集めています。

また、人工繊維に頼らず、動物福祉に配慮した素材としてエシカルやフェアトレードの観点からも高評価を受けており、ブランドのストーリー性や独自性を打ち出す要素としても活用されています。特に、チベットやモンゴルなど生産地と提携し、地域経済と環境保護に配慮した生産プロジェクトも展開されています。

軽量かつ高断熱であることから、ヤクダウンは登山やスキーといった極寒環境における使用にも耐えられる性能を持ち、近年ではアウトドアとラグジュアリーを融合させたアーバンファッションにも採用されるようになっています。これにより、ヤクダウンは単なる防寒素材ではなく、現代のライフスタイルに調和した高機能エコマテリアルとしての地位を築きつつあります。

まとめ

ヤクダウンは、極寒地で育つヤクの柔らかなアンダーコートを使用した、天然由来の高機能ダウン素材です。その優れた保温性と通気性、そしてエシカルでサステナブルな背景は、現代の価値観に即した新たな素材の選択肢として広がりを見せています。快適性と環境配慮の両立を求めるアパレル業界において、ヤクダウンはこれからも重要な役割を果たしていくことでしょう。

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