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アパレル業界におけるヤーンカバーとは?

アパレル業界の分野におけるヤーンカバー(やーんかばー、Yarn Cover、Recouvrement de Fil)とは、糸の構造や仕上がりにおいて、下層の芯糸を覆うように別の糸を巻き付けたり、編み立てたりして表面をカバーする技術や状態を指します。この工程により、見た目の均一感や手触りの滑らかさが向上し、芯糸の機能性(弾力性や伸縮性)を保ちながらもファッション性を高めた素材に仕上げることが可能です。主にストレッチ糸やスポーツウェア、レッグウェアなどの高機能素材に多く用いられています。

ヤーンカバーの定義と特徴

ヤーンカバーとは、芯糸(スパンデックスやポリウレタンなど)に別の糸を巻きつけたり、覆うように絡めて構成される糸の形態のことです。この構造により、芯糸の特性である伸縮性や弾性を活かしながら、表面に別素材の糸を出すことで見た目の美しさや肌触りの調整が可能になります。

ヤーンカバーは通常、「カバリングヤーン(Covering Yarn)」や「カバーリング糸」とも呼ばれ、1本または2本の糸をスパンデックスにらせん状に巻きつけた「シングルカバー」や「ダブルカバー」といった構造があります。主にストッキング、タイツ、レギンス、スポーツウェアなどに使用され、機能と審美性を両立した素材です。

言葉の由来と歴史的背景

「ヤーン(Yarn)」は英語で「糸」、「カバー(Cover)」は「覆う」ことを意味します。この2語を組み合わせた「ヤーンカバー」は、糸の被覆構造またはその加工方法として1970年代以降のストレッチ素材開発の中で広く認知されるようになりました。

とくにナイロンとポリウレタン(スパンデックス)のコンビネーションによって開発されたストレッチレッグウェアでは、芯糸にスパンデックスを用い、それをナイロン糸で覆うヤーンカバー技術が用いられるようになり、耐久性と快適性を両立する新しいアパレル素材として評価されました。

現代の使われ方と応用領域

現在のアパレル業界では、ヤーンカバーはさまざまな場面で応用されており、特に次のような素材や商品で活躍しています:

  • レッグウェア: タイツ、ストッキング、着圧ソックスなどで滑らかさと伸縮性を両立
  • スポーツアパレル: フィット感と肌当たりを両立させたインナーやヨガウェア
  • 下着や補整下着: 締め付け感のない快適さと、美しいシルエットを両立

また、技術の進化により、抗菌・防臭・UVカット・吸水速乾性などの機能糸を使用してカバーすることで、多機能かつ高付加価値な糸としての用途も拡大しています。加えて、ファッション性を重視するブランドでは、カラー糸やラメ糸による装飾的なカバーも見られるようになっています。

まとめ

ヤーンカバーは、芯糸の性能と表面素材の意匠性・肌触りを融合させる糸構造であり、快適性と機能性を両立した現代アパレルに不可欠な要素です。高機能繊維が注目される中で、ヤーンカバー技術はファッションとパフォーマンスの架け橋として、ますますその重要性を高めています。

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