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アパレル業界におけるヤクシルクとは?

アパレル業界の分野におけるヤクシルク(やくしるく、Yak Silk、Soie de Yak)とは、ヤク(チベット高地などに生息するウシ科の動物)の毛とシルク(絹糸)を混紡または交織した高級素材を指します。ヤクの保温性と耐久性、シルクの光沢と肌触りを兼ね備えたこの素材は、ラグジュアリー志向のアパレル製品で注目されています。自然素材への関心が高まる近年、エシカルファッションやサステナビリティを重視するブランドでも積極的に取り入れられており、特に秋冬シーズンのインナーウェアやニット、ストール、アウターなどに多く見られます。

ヤクシルクの基本概念と特性

ヤクシルクは、ヤクの産毛(アンダーコート)とシルク繊維を組み合わせた天然繊維素材で、混紡率は製品により異なるものの、一般的にはヤク30?70%、シルク30?70%程度で構成されています。ヤクの毛は細く柔らかく、保温性と吸湿性に優れており、これにシルクを加えることでさらなる滑らかさと光沢感を加味しています。

この組み合わせにより、軽量で暖かく、かつ肌触りが非常にやさしい素材が生まれ、敏感肌の人にも好まれるテキスタイルとして評価されています。

言葉の由来と歴史的背景

「ヤク」は中央アジア、特にチベットやモンゴルの高地に生息する動物で、古くから毛や肉、乳などを通じて人々の生活を支えてきました。一方、シルクは中国を中心とした東アジアの伝統的な織物文化において、数千年にわたり高級素材として珍重されてきました。

ヤクシルクという言葉は、近年の素材ブレンド技術の進化とともに生まれた新語であり、明確な発祥時期は不明ですが、2000年代以降にヨーロッパや日本を含むラグジュアリーマーケットで徐々に注目されるようになりました。

製造と供給の背景

ヤクの毛は限られた地域でしか採取できず、その量も限られるため、ヤクシルクの原材料供給は非常に希少です。これにより価格は高めに設定されることが多く、プレミアム素材として取り扱われるケースが一般的です。

また、ヤク毛の手紡ぎ・手織り文化を守るために、フェアトレードや地場産業支援の文脈でプロジェクト化される例も多く、単なるファッション用途を超えて、エシカルな価値観と結びついて発展しています。

現在の使われ方と製品展開

ヤクシルクは、以下のようなアパレル製品に活用されています:

  • 高級ニット(セーター、カーディガン)
  • インナーウェアやアンダーウェア(保温性と肌触りを重視)
  • ストール、マフラーなどの雑貨類
  • ドレス素材やカジュアルウェアの一部としての採用

特に秋冬向け製品では、ヤクの持つ保温性とシルクの肌触りを両立させたアイテムが増加しており、デザイン性だけでなく機能面からも選ばれています。

サステナビリティと今後の展望

ヤクシルクは、動物の毛を採取しても生命を損なわず、また生分解性にも優れるため、サステナブル素材としての評価も高まりつつあります。動物福祉や地球環境への配慮が重視される現代において、ラグジュアリーでありながら倫理的な選択肢として多くのブランドに採用されています。

今後は、繊維産業の脱炭素化や地産地消モデルの中で、ヤクシルクのさらなる需要拡大と技術革新が期待されています。

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