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アパレル業界におけるヤクスーツとは?

アパレル業界の分野におけるヤクスーツ(やくすーつ、Yak Suit、Costume en yack)とは、チベット高原などの寒冷地に生息するヤクの毛(ウール)を原料としたスーツのことを指します。ヤクウールは保温性と通気性に優れ、しなやかで高級感のある風合いが特徴です。環境にやさしい天然素材として注目を集めており、サステナブルなビジネスウェアとして、近年ではラグジュアリーブランドを中心に導入が進んでいます。

ヤクスーツの定義と特徴

ヤクスーツは、ヤクの毛を用いた生地から仕立てられるスーツで、通常のウールスーツに比べて柔らかさと軽さ、そして独特のぬくもりを備えています。ヤクの毛はカシミヤに近い繊細な繊維構造を持ち、肌触りが非常になめらかで、チクチクしにくいという利点があります。

また、断熱性と調湿性に優れているため、寒冷地でも快適に着用でき、自然素材特有の風合いと相まって、上質で落ち着いた印象を与えることができます。ダークブラウンやグレー、ナチュラルな生成り色など、染色を施さずとも美しい色味を持つ点も魅力のひとつです。

言葉の由来と歴史的背景

「ヤク(yak)」は、ヒマラヤやチベット高原に生息するウシ科の動物で、極寒地に適応した厚い毛皮を持ちます。古来より遊牧民たちは、ヤクの毛を糸にして織物を作り、衣服や寝具、テントなどに活用してきました。

その丈夫さと保温性から、ヤクの毛は長年寒冷地の生活必需品とされてきましたが、21世紀に入り、環境に優しく持続可能な動物繊維として欧米のエシカルブランドに取り入れられるようになりました。これがファッション業界において「ヤク素材」の再評価を促し、ヤクウールを使ったスーツも開発・販売されるようになったのです。

現代の使われ方とバリエーション

現代においてヤクスーツは、主に秋冬シーズンのビジネスウェアやフォーマルウェアとして人気を集めています。特に、サステナブルファッションに関心の高い消費者や、高品質で環境負荷の少ない素材を求める層に支持されています。

また、ヤク素材を100%使用した製品に加え、ウールやカシミヤとブレンドすることで、さらなる柔軟性や耐久性を加味したスーツも登場しています。国内外のブランドでは、クラシックなテーラードタイプから、カジュアルなセットアップ風スーツまで幅広いバリエーションが展開され、都市部を中心に認知が進んでいます。

さらに、素材の生産背景にあるエシカルなストーリーやフェアトレードの取り組みも注目されており、消費者の共感を呼ぶ商品として、今後も拡大が見込まれています。

まとめ

ヤクスーツは、自然由来の高機能素材としてのヤクウールを用いた、新たな高級スーツの形です。その温かさと心地よさ、そしてサステナブルな価値観を兼ね備えた本アイテムは、単なる衣服を超えて、着る人のライフスタイルや意識までも反映する存在として、今後ますます注目を集めていくでしょう。

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