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アパレル業界におけるライセンスブランドとは?

アパレル業界の分野におけるライセンスブランド(らいせんすぶらんど、License Brand、Marque sous licence)とは、ブランドの商標やロゴなどの使用権(ライセンス)を、ブランドオーナーが第三者に許可し、その許可を得た企業がそのブランド名を使って商品を製造・販売するビジネスモデルを指します。これは主にブランドの拡張や市場シェア拡大、認知度の向上などを目的とし、アパレル業界では非常に一般的な手法として活用されています。

ライセンスブランドの基本的な仕組み

ライセンスブランドとは、ブランドオーナーが自社ブランドの商標使用権を、別会社に与えることで成立するビジネスモデルです。このとき、ブランドオーナー(ライセンサー)はブランドの価値や方向性を守りながら、製品の生産や販売はライセンシー(ライセンスを受けた企業)に任せる形になります。

この方式は、資源や生産能力を持たないデザイナーズブランドや海外の高級ブランドが、新たな地域やカテゴリに進出するための効率的な手段として活用されます。ライセンシーは使用料(ロイヤリティ)を支払う代わりに、強いブランド力を背景にした商品開発・販売が可能となります。

言葉の由来とアパレル業界への導入

「ライセンス(license)」という言葉は、英語で「許可」「認可」を意味し、商標・特許・著作物などの使用権を第三者に与える契約形態を指します。アパレル業界でこの形態が広く普及したのは20世紀後半、特に1980年代の日本市場です。

この頃、ヨーロッパの高級ブランド(イタリアのフェラガモやフランスのジバンシィなど)が、日本の百貨店市場に参入する手段として、ライセンス契約を活用。現地企業と提携して、ブランド名義の商品を展開するケースが急増しました。仏語では「Marque sous licence(マルク・ス・リスンス)」と呼ばれ、商業契約上の管理が重視されます。

ライセンスブランドのメリットとリスク

ライセンスブランドの最大の利点は、ブランドの成長と収益の拡大が可能になる点です。ブランドオーナーは市場拡大ができ、ライセンシー側は知名度のある名前で商品を販売できるため、両者にメリットがあります。

一方で、ブランドの一貫性やクオリティコントロールが失われるリスクもあります。消費者から見れば、同じブランド名でも製造元や品質が異なるため、ブランドイメージの毀損に繋がることもあります。こうしたリスクを防ぐためには、契約時の明確な条件設定や、定期的な監査・品質管理が重要です。

現在の使われ方と市場の変化

かつての日本市場では、海外ブランドの大半がライセンス形式で展開されていましたが、現在は多くのグローバルブランドが直営モデルや買収による現地法人展開へとシフトしています。これはブランドの世界観を自社で統一管理したいというニーズの高まりによるものです。

ただし、日本国内においては今なお多数のアパレル企業が、スポーツブランドやキャラクターライセンス、コンテンツIPなどを活用してライセンスブランドを展開しています。また、地場ブランドが逆にアジア圏に進出する際にライセンス戦略を活用する例も増えています。

成功事例と注目の展開

たとえば「ラルフ ローレン」は、ライセンス展開によって日本市場での急成長を実現しました。また、「ディズニー」や「サンリオ」などのキャラクターブランドは、ファッションとのコラボによって新たなターゲット層を獲得することに成功しています。

ライセンスブランドの柔軟な活用は、時代のニーズに応じて、アパレル産業におけるイノベーションや多様化を促進する手段として、今後も注目されるでしょう。

まとめ

アパレル業界におけるライセンスブランドは、ブランド価値を維持しながら市場を拡大するための有効な手段です。適切な契約と品質管理のもとで運用されれば、ブランドとライセンシーの双方にとって利益をもたらす可能性を秘めています。グローバルな市場環境が変化する中で、今後もその展開手法は多様化していくでしょう。

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