アパレル業界におけるラメ糸とは?
アパレル業界の分野におけるラメ糸(らめいと、Lame Thread、Fil Lame)とは、金属的な光沢を持つ装飾用の糸で、衣服やアクセサリーなどに煌びやかさや華やかさを与えるために使用される素材です。金属を薄く延ばして加工した糸、または金属調に加工された合成繊維を細くスリットして使用するものが主流です。フォーマルウェアやステージ衣装、カジュアルファッションにも取り入れられています。
ラメ糸の定義と構造
ラメ糸とは、金属や金属様の光沢を持たせた装飾糸で、織物や編物に混ぜ込むことで、布地に輝きや高級感を加える役割を持つ素材です。ラメとはフランス語の「lam?(ラメ)」に由来し、「箔を貼った」「金属で覆われた」といった意味を含んでいます。
従来のラメ糸はアルミや銀、金などの金属を極薄に延ばして樹脂でコーティングし、繊維状に加工したものでしたが、現在ではより軽量で加工性に優れたポリエステルやナイロンベースの金属調フィルムが主流です。これをスリット状にして糸状にしたものや、他の糸と撚り合わせた構造が一般的です。
ラメ糸の歴史と語源
「ラメ糸」のルーツは古代文明にまでさかのぼります。古代エジプトやギリシャ、ローマなどでは、金や銀の糸を用いて王侯貴族の衣装に豪華な装飾を施していました。また、東洋では中国やインドでも金糸・銀糸が絹織物などに使用され、富と権威の象徴とされていました。
ヨーロッパでは中世以降、特にルネサンス期において金属糸を使用した刺繍やブロケード織が盛んに行われ、「ラメ(lam?)」という語もこの頃から広く使われ始めました。20世紀に入り、金属を樹脂でコーティングした軽量で柔軟なラメ糸が登場し、モダンファッションやステージ衣装に使用されるようになります。
現代の使われ方
現代のアパレル業界では、ラメ糸はさまざまな分野で活躍しています。フォーマルドレスやパーティーウェア、ダンス・舞台衣装など、視覚的なインパクトが求められるアイテムに頻繁に用いられます。また、日常的なカジュアルファッションにも、ポイントとして取り入れられることが増えています。
ニット製品では、アクリルやウールにラメ糸を撚り合わせることで、上品な光沢を加えたセーターやカーディガンが人気です。さらに、ストールやバッグ、靴下、帽子などの小物でもアクセントとして多用されています。
種類と表現の多様性
ラメ糸には多くのバリエーションがあります。色は金や銀の他に、赤、青、緑などのカラフルな金属色も存在し、用途に応じて選ばれます。また、フィルム状の平らなラメ糸(フラットヤーン)や、細い繊維に撚糸されたタイプ(スパークルヤーン)など、光沢の度合いや表情にも違いがあります。
最近では、エコ素材や再生原料を用いたサステナブルなラメ糸も登場しており、環境配慮とデザイン性を両立する新たな動きが広がっています。
注意点と取り扱い
ラメ糸は繊細で、引っかかりやすく摩耗に弱い面があるため、縫製や洗濯時の取り扱いには注意が必要です。特に編物製品では、糸切れや光沢の劣化を防ぐために裏返しにして手洗いまたはネット使用が推奨されます。
また、肌に触れる部分で刺激を感じる人もいるため、下に裏地を施したり、使用部位を限定するなどの工夫が必要です。
まとめ
ラメ糸は、その煌びやかな見た目と装飾性により、アパレルにおける表現の幅を大きく広げる素材です。歴史的な高貴さを受け継ぎながらも、現代の技術によって軽量・高機能・環境配慮型へと進化しています。今後も多様な用途と表現で、ファッションの世界に彩りを与える重要な存在であり続けるでしょう。