アパレル業界におけるラップドレスとは?
アパレル業界の分野におけるラップドレス(らっぷどれす、Wrap Dress、Robe portefeuille)とは、前身頃を左右に重ねて体に巻きつけるように着用し、ウエスト部分でリボンやベルトなどで結んで留めるスタイルのドレスです。動きに合わせてシルエットが変化しやすく、ボディラインを美しく見せる効果があるため、多くの世代に支持されています。1970年代にアメリカのデザイナー、ダイアン・フォン・ファステンバーグが広めたことで世界的に知られるようになり、今でも多くのブランドから展開されている人気アイテムです。
ラップドレスの定義と特徴
ラップドレスとは、左右どちらかの前身頃をもう一方に重ねて、ウエストで巻くように締めて着用するドレスのことを指します。この「ラップ(wrap)」という動作が名称の由来であり、構造上、ボタンやジッパーを使わず、結び紐やリボンで固定するのが特徴です。
この構造により、着る人の体型に柔軟にフィットし、誰にでも美しいシルエットを作りやすい利点があります。ウエストを自然に引き締めて見せ、Vネックによってデコルテラインをきれいに見せる効果も高く、フェミニンでエレガントな印象を与えるデザインが多いのも特徴です。
言葉の由来と歴史的背景
「ラップドレス」の歴史は古く、類似の巻きつけスタイルは古代ローマのトガや、日本の着物、東南アジアのサロンなどにも見られます。現代的なラップドレスとしてのスタイルは、1970年代にベルギー出身のアメリカ人デザイナー、ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von F?rstenberg)によってファッション界に広まりました。
彼女がデザインしたジャージー素材のラップドレスは、働く女性のための機能性とエレガンスを兼ね備えた革新的な服として絶大な人気を集め、アメリカを中心に世界中へ浸透しました。このスタイルは当時の女性解放運動ともリンクし、「自立する女性の象徴」としても高く評価されました。
現代の使われ方とバリエーション
現在、ラップドレスはシーズン問わず多くのブランドで展開されており、オフィススタイルからパーティードレス、カジュアルなワンピースまで幅広く使用されています。素材もジャージーやシフォン、コットン、シルクなど多岐にわたり、場面に応じた選択肢が豊富です。
また、完全に開くタイプのものだけでなく、あらかじめ縫い合わせて形を固定した「フェイクラップドレス」も登場しており、着崩れの心配なくラップスタイルの美しさを楽しめるアイテムも増えています。加えて、マタニティウェアやサイズ調整がしやすいアイテムとしても評価され、年齢や体型を問わず人気があります。
柄や丈のバリエーションも豊かで、ミニ丈からマキシ丈、花柄から無地までさまざまなデザインがあり、季節感を反映させやすいスタイルとしてファッション性の高さも魅力です。近年では、環境に配慮したオーガニック素材のラップドレスも注目を集めています。
まとめ
ラップドレスは、巻いて結ぶだけで美しいシルエットを演出できる汎用性の高いドレスとして、長年にわたって支持され続けています。その着やすさや体型補正効果、デザインの多様性から、現代のライフスタイルにも適応しやすく、フォーマルからデイリーまで幅広いシーンで活用されています。今後も時代やトレンドに合わせた進化が期待されるアイテムのひとつです。